【Rose Ga Ga!】

毎年オフシーズンになると、来期に新しくお迎えするバラのことを考え始めます。
ずっと気になってるあの品種この品種・・・特に注目ブランドの最新品種など。
「もうこれ以上バラは増やさない!」って堅牢な誓いを胸に抱きつつ、毎年毎年「うわ、このバラ素敵・・・」などとトキメく心は止められずww 特に昨年の当庭は厳冬の差し響きにて二桁近いバラを失ったため、ならば!とばかりに新しいバラ達をいつになく迎え入れました。いやぁ~楽しかったぁ~!そして今年はそのコ達の生長が非常に楽しみっ! 新しいバラってどうしてこんなに人のテンションをあげてくれるのかしら(笑)?

っと、それはそうとして。
昨年そんな風に品種選びをしていて改めて思ったんですけど、最近は花が美しいだけでなく、優れた耐病性を謳った品種が本当に多くなりましたね。
ガーデンローズにとって、丈夫であることは最大の美点です。どんなに秀麗な花の咲かせ主であっても、庭植えで健全に育てないバラはガーデンローズとしてはNG。他の植栽植物とよく調和し響きあい、そしてより美しく咲き誇る為にはそれ相応の強さを持ち合わせていなければ。
とはいえ個人的な基準で言えば、多少の病気癖があったとしても、それを撥ね退けるだけの樹勢があればOK。うちの場合はそもそもの大前提として耐寒性に絶対の縛りがありますから、その上でシーズン中たまに風邪ひく位では弱い品種とは見做しません。
要するに、プロ仕様の特別な栽培テクニックを駆使しなくとも初心者にでも出来る必要最低限のメンテさえすれば、あとは庭主を煩わすことなくフツーに元気で綺麗な花を咲かせてくれる―――、それが私にとっての『丈夫なバラ』『すこやかなバラ』です。
その点、近年のガーデンローズ品種はどれもこれもが素晴らしい耐病性を持ち合わせていて、更には年々そのレベルは向上しているように思います。もしかしたら・・・・・完全無農薬栽培で美しいローズガーデンがつくれる夢のような時代が、すぐそこまで来ているのかもしれません。そんな気すらしました。実際、もし仮に私が今からローズガーデンを作り始めようとしている新人ガーデナーなら、

「イマドキ薬剤散布? 世界中がオーガニック志向の時代に?」

そういう基準で以ってバラを選ぶことも可能だったのではないかと。
・・・けれど現実はもちろん違う。
今現在のティストウの庭に咲くバラのラインナップでは、完全無農薬栽培にて公開レベルを保つのは非常に難しいと言わざるを得ない。たとえば定番中の定番であるピエールドロンサールやアイスバーグなんかは定番の名に背くことなくフツーに黒星を発症するでしょうし、私の大好きなハイブリッドパーペチュアル類はちょいちょい余計な白粉を叩きたがるでしょう。ましてやこれだけの株数のバラが大量にあげる無数の蕾や新芽につくアブラムシをひとつひとつテデトールするなんてムリ。もちろん個人でバラを楽しむだけならそれで構わないかもしれませんが、うちは・・・・・私は、この庭をより美しく洗練させていくために、いつも『お客様の目』という客観性を必要としているので。

だったら古い品種は順次破棄して、新しい品種にすべて入れ替えていく?

いえいえいえ。そんなことしたって、結局はキリがないでしょ。
現時点では数量限定最新品種の新苗だって、それが成木になった頃にはきっと更に優れた最新品種が発表されているはずですから。もし黒白完全耐性なバラが主流を占める時代が来たとしても、それで志向や流行の変遷が止まる訳じゃない。すぐにまた次の価値観を掲げるバラが必ず現れることでしょう。

それに何より、より優れたバラを求めて次々に古いバラを破棄していったら、美しい年輪を内包した本物の庭はいつまで経っても手に入らないじゃないですか。調度物に流行りのシャビーなエイジングをいくら施したって、所詮は『なんちゃってw』に過ぎませんから・・・って、別に否定してる訳じゃないですよ? どころか私自身もガーデン雑貨を設える時はせっせせっせとエイジング加工しますので。何が言いたいかというと、たとえ『なんちゃって』であっても、庭が美しくある為には時間経過が齎す要素が必要不可欠であるということ。新しいバラばかりを求めてそれを蔑ろにしたら本末転倒です。少なくとも私は「最新品種を植える為に庭を用意している」のではなく「庭が美しくある為にバラを植えている」人なので。

更に言えば、時代を越えてきたバラだけが持つ特別な力というものがある。
私は新たにお迎えするバラを選ぶ時、最近のバラと古くからあるバラを平気で天秤の左右に乗せます。勿論最近のバラのほうが耐病性に優れているし今風のオシャレ感はあるんですが・・・それでも古いバラが隠し持つそんな力が絶大であることもよく知っているので。
たとえば美しく咲き誇る一株のそんなバラの前に立つ時、私は行ったこともないヨーロッパのお城や秘密の花園、もしくはいつか絵本で見た可愛らしい農家の裏庭に入り込む事が出来るのです。或いは時すら飛び超え、かつてそのバラを愛した何処かの誰かと心を通わすことも出来るし(それは某国の王妃様かもしれないし、遠い日の自分自身かもしれず)ひょっとしたら作出者の横顔を、あるいは命名に秘められた人々の想いと共鳴することだって・・・


別にお花畑なファンタジーを語ってるつもりはありません。おそらく或る程度に古いバラを慈しんでいる方なら少なからずお分かりになるのではないかと。オールドローズファンならそのバラが生まれた背景や越えてきた道程に想いを馳せるなんて日常の一コマでしょうし、モダンローズでさえ「このバラ、うちのお婆ちゃんが好きだって言ってたよなぁ」とか「そういえば昔、通学路の途中にバラが咲いてる垣根の家があって」とかね。
長い歳月を越えて愛され続けてきたバラには、観る者を背に乗せて力強く羽ばたくイマジネーションの翼がある。その力だけは、どんなに耐病性とファッション性に勝った美しい最新品種であっても到底代替え出来ない・・・・っ!

・・・・なぁ~んてサ。
ってか、そもそもなんでこんな徒然話を長々語ってるかってゆーとですね。。。

ティストウの庭に咲くイングリッシュローズ一覧

お気づきになりました? 比較的近年作出の数品種を除いて、ほぼカタログ落ち。
いわゆる廃盤ってヤツです。もうびっくりですよ。

※ごめんなさい!確認不足です! 確かにカタログ落ちしたものも少なからず含まれていますが、現時点では公式サイトでも取り扱いしている品種も多々。今頁既読にてびっくりさせられた方、ホントにすみません!(私自身も相当びっくりしてました。なので動転のあまりの放言だったとお許し下さいませ) 兎も角そういう訳ですので、以下の文章中にあった誤情報に基づく発言箇所を一部書き直しました。内容そのものは殆ど変わりませんが、誤解を招く文言をずっと晒しとくというのもなんか気持ち悪くて・・・・どうぞご了承下さいませませm(__)m

イングリッシュローズ グレース Grace

ゴールデン セレブレーション Golden Celebration イングリッシュローズ


・・・・・コホン。それでは大変お騒がせ致しました。改めて本題に入りますネ。

今回は誤情報だったとはいえ(…だよね?やっぱホントだったってコトはないよね⁉)イングリッシュローズには『カタログ落ち』なるものがあることは御周知のとおりです。私がそれを知ったのも、おそらくこの庭を作り始めた最初の頃だったと思います。

とはいえその頃はまだ、カタログ落ちしたバラというのはその品種に看過出来ない欠点が発現したがゆえ、或いはより美しくより優れた性質を持つ類似品種が作出されたがゆえの代替えなのだろうと思っていました。もちろん書籍や雑誌等で美しく咲き誇るそのバラが既に手に入らないことは残念に思いましたけど、でもそのバラひとつに拘らなくとも、どうしても欲しい!自分の庭で咲いて欲しい!と思うバラは数限りなく沢山沢山あったので、『カタログ落ち』というシステム自体は殆ど気にしてなかったというのが正直なトコロです。
けれどそのうちに・・・・私の庭にあるイングリッシュローズのいくつかが、いつの間にかにカタログ落ちしていることを知るに至り、その度に少なからずショックを受けることとなりました。だって・・・自分が美しいと感じているもの、大切に想っているものを頭ごなしに全否定されたような気分になるじゃないですか。だからその度に「そうじゃないそうじゃない、これはあくまで人間側の事情であって、このバラそのものの価値に関わる話じゃない!」と、散々自分に言い聞かせていた訳なんですけれども、やっぱりどうしたってサ。。。

まぁ実際の話、うちの庭のイングリッシュローズ群はその殆どが1980~1990年代の作出。なので当然の如く今ではパテントやら商標登録やらが切れているものが多々。そしてこれまでも数々の名立たるイングリッシュローズが次々にカタログ落ちしてきた事実を踏まえてしまうと、いずれ新品種に押し出される形で姿を消していく可能性が高い品種群であることは事実なのです。経営とか営利事情から慮れば無論の理でしょう。


とはいえ早々容易く割り切りたくはない!というのが人の情ってヤツなので(笑)。

「えー--!? なんで!? なんでこのバラがカタログ落ち!? 銘花じゃん!」

巷でもちょいちょい飛び交う文言ですよね。そして様々な理由が推察されているようです。具体的に挙げると・・・花保ち問題とか耐暑性とか日本では伸びすぎるとか秋に花が咲き難いとか。でもこれらに関しては・・・・う゛ぅ~~~ん? どうなんだろ? 作出本国の方にとっては「・・・あら、お気の毒ね」って程度なんじゃないかとも思いますし、実際、私の庭でもそれらの難点はまったく気になりません。これはサ・・・例えばフランスとは似ても似つかない風土の庭でフレンチローズ植えてる私がショッチュウ「耐寒性がー!耐寒性がー!」って騒いでることに対して、暖地の方々が「・・・ふ~~ん、大変そうだね」って位にしか思わないのと同じコトなんじゃないかと(笑)。

それよりも私が深刻なんじゃないかと推察しているのは・・・・・前述していた耐病性絡みの問題。

近年欧州では薬剤散布に対する規制がより厳しくなったようで、その環境下では品種本来の美しさを発揮出来ないと判断されたのかもしれません。だとすれば、どんな有名&人気品種であってもカタログ落ちは致し方ないのかな、と。先主の御方は完璧主義者だったと言われていますし、ブランドのプライド的な面から考えても、自社の看板を背負ったバラが黒星だらけになった姿で、最先端の耐病性を有する他社ブランドと同列で語られるのはやっぱりちょっと。。。ならば御方様の美意識通り、美しいバラは美しいままバッサバッサと音を立てんばかりに潔く・・・・っ!って私は勝手に思ってる訳ですけども、もちろん真相は藪の中。

まぁ、兎も角それでも幸運なことに(?)ティストウの庭では今後も変わらずに定期的な薬剤散布を続けていくつもりでいますので、流通上の廃盤になろうがなるまいがこの庭の中では美しい姿で咲き誇り続けていくのだろうとは思っています。また、こう言ってしまうのも何なんですが・・・誰もが認めるこれだけの銘花群が軒並みカタログ落ちしたことで、個人的な感傷もいっそ吹っ切れたというか(笑)。 うん、だからまだ大丈夫らしいって! しかもおかげでかなりいろいろ思うトコロもあった訳だし。結論としては今後の庭の在り様を考えるいいきっかけになりました。ホント、いつまで経ってもERは私の師匠!ってことみたいですネ。

いずれにしても一時代を築き、ガーデンにおけるバラの存在意義を絶対のものにした数多の初期イングリッシュローズ群に対しては、惜しみない賞賛と敬意を!

そしてもうひとつ言い添えておきますと、私がティストウの庭に咲くバラたちの個別ページをWebに上げたのは、栽培経験談という形のデータを公開することで、何処かの誰かの何らかの役に立てればという気持ちが第一にあったからです。けれどイングリッシュローズに於いては、既に生産終了したものや、遠からず入手困難な廃盤となりそうな品種ばかりを紹介している態となっていることは大変複雑な心境です。とはいえ私は別に栽培レポートを書く為にバラを育てている訳ではないし、現実的に言ってもティストウの庭は既にどこもかしこも満員御礼状態なのでこれから新しいイングリッシュローズをお迎えするか否かは非常に・・・・・・ってか、「次にお迎えするなら絶対アレとソレ!」ってのが実は未だにあったりなんかしてるんですけれども、それすらケッコー昔のヤツだったりして。。。決して懐古趣味とか入手困難レアものマニアとかのつもりは全然ないんですが、詮無き哉、そもそも私に『美しいガーデンローズの価値基準』をイチから教えてくれた師匠連こそがその辺の品種群なものですからどうしたってね・・・(笑)。


まぁ、兎も角そんなこんなの訳でありまして(…はい?)私同様に、古花あるいは廃盤となったイングリッシュローズに強い強い愛着をお持ちの方へは、クイーンの ‘Radio Ga Ga’ をおススメしときます。ネット検索すれば曲も歌詞の和訳も出てきますので是非どうぞ。但しその際はおそらく、両手を高く掲げ、花期真っ盛りのヘリテージあたりに向かってそれを歌っているドコぞのダレかが透けて視えるやもしれませんが・・・・すみませんそれがイマジネーションの翼ってヤツのしわざですので、何卒寛大なるご理解を賜りますように♪