私流・草花のプランニング〚球根類〛

さて、ここまでお話したこと
1⃣  境界を描く 2⃣  バラの足元を隠す 3⃣  地面を覆う
この3つに関しては、どの順番で植え始めても構わないと思います。
必要と思われるトコロからでいいし、必要なければ植えなくてもいい。
けれどどういう状態にしろ宿根草をある程度植栽した後でなければ、なかなか植えにくいものがあります。だからプランニングの順番としては4⃣ 5⃣  それが球根モノとなります。

4⃣ 春レイヤーを仕込む

基本的にうちでは、秋に植え替えやら株分けやらの土木作業したら、翌年の春以降はまた秋まで植栽変更をすることはありません。芽吹いて、咲いて、茂って、黄葉するまで・・・・季節に移ろう全部のシーンを余すことなく楽しみたいので。途中で庭にスコップをさすと、どうしても自然な美しさが削がれてしまう気がするんですよね。

ただ、そうすると早春~春にかけて、ちょっとした待ち時間が発生します。うちの主力部隊がお目覚めして、本来の大きさになって緑を茂らせ庭景色を制するまでの時間。
そしてその束の間こそが、チューリップをはじめとする春咲球根類の別世界となります。


総じて春咲球根の葉っぱは起き抜けからぐんぐんと生長し、宿根草群が本領を発揮しだすよりずっと早く緑の景色を一気に出現させます。とりわけ北国の人間は「とにかく早く!早く!」と春を切望しているので、雪解けしたばかりの地面がみるみると緑に変わっていく様はワクワク感の象徴でもあります。

植え場所としては、縁取り部隊のすぐ後ろ。またはそれよりも後ろのほうで大きく葉っぱを展開していく予定の宿根草の近く。そうすれば花後しどけない姿で光合成してても、追いついてきた主力部隊がその姿をそっと死角に隠してくれる・・・・・・ホント自然ってSDG’s

折角だから、うちの球根の植え方ご紹介~
スーパーでおかずのついでに買ったやつ。サクッと一掘りして、一袋もしくは二袋分まとめて埋めちゃう。
あら簡単♪ そうするとだいたい⇩な感じになる。


「掘り上げはしないの?」 やぁだ、そんなメンドクサイこと♪ うちは基本的に球モノだって植えっぱなしに出来なきゃそもそも植えません。
「・・・って、うわ出たよ寒冷地マウント」はははww でもだからどんなに憧れていても、うちではアネモネとかラナンキュラスは植えられないのです。その土地その土地の庭がありますので。

ただ、植えっぱなしにすると翌年は花数が減るってよくありますよね。分球したけど花を咲かせるにはちっちゃすぎてせいぜい一枚葉・・・とかね。でもはじめっから一株に見えるように植えとくとなんも気にならない。むしろ放置して2,3年経ったほうがより自然に見えるくらい。

それにこうして植えとくと、季節に応じて地面と空間を効率よく使い回せるので。
⇩のチューリップはまだ咲いてないけど、両サイドに芽を伸ばし始めたばかりのハイブリッド芍薬と、葉っぱ展開前のクリスマスローズ。いずれチューリップが咲きおわり、黄色く枯れ失せてしまうころには、これらが大きく茂ってチューリップの所在地を葉隠れに収めてしまう。ついでにそこは、バラの花殻摘みの際、庭主の足場となるってしくみ。大事ですよ~足場! ちゃんと確保しとかないと、特にバラ期以降は『庭』ではなく『只の藪』になっちゃいますので。


⇧《洋種エンレイソウ》 こんなに大きくカッコイイ葉っぱなのに、こやつも球モノだから花後一ヶ月もすれば跡形もなく消え失せる。けど、その頃には周囲が茂って、これが居た場所がどこかさえ分からなくなる。
⇧⇩《サクラソウ》は球モノじゃないけど夏休眠したがるからそれに準じた扱い。他に《タイツリソウ》とかも・・・・ってか春咲の山野草系宿根草のなかには、夏の暑さから自主避難する方々は結構いますので、それなりに御対処を。


《ミヤコワスレ》は比較的小さい宿根草だけど、バラ期の頃には花丈も結構出てるから小球根くらいなら隠せる。っても⇧⇩は別に狙った訳でも何でもない。最早庭中で自生状態の⇧《オニソガラム ウンベラタム》《シラー》⇩ 


とにかく春の小球根類や山野草はみんな小っちゃくて可愛くて、夏のバッサバサな景色とはまったくベツモノ。ホントよく出来たもので、これらのおチビちゃんらはちゃんと木陰、葉陰を好みます。安心してほったらかしておきましょうww

 

5⃣ 夏の主役を投入

打って変わって もはやオラオラ系の様相を呈して旺盛に繁茂するサマーガーデン。
バラ達の饗宴後、ティストウの庭で夏の主役に躍り出るのは大輪のユリたちです。バラが女王様もしくはスクリーンの大女優なら、これらはスーパーモデル。強烈な日差しのランウェイから力強く颯爽と登場し、スポットライトの中央で堂々綽々なポージング・・・・そんなイメージ。

っと、えーーー、でもここでちょっとタイム。
ユリの系統について。

・スカシユリ系(A-アジアティック)草丈低・花期早・上向き咲
・鉄砲ユリ系(L-ロンギフローラム) 草丈中・花期中・横向き咲
・カサブランカ系(O-オリエンタル) 草丈高・花期遅・横向き咲・大輪

いろいろ正確さには欠けるけど、庭植えでユリを楽しむならとりあえずザックリとした捉え方として⇧の3系統の把握は必要。その他にリーガルリリー系(T-トランペット)とかカノコユリ系とか諸処モロモロあるんだけど、それはまぁヨシとして。

そんで世の中にはLOだのLAだのOTだのという交配雑種系統がある。例えばLOなら(ロンギフローラム)×(オリエンタル)ってこと。するとそこから生まれた品種の草丈や花期はちょうど親の中間になってることが多く、美貌と性質は両親のイイトコ取りされてるって感じ。
ちなみにHはハイブリッド。OHとかAHとかなら、その系統だけどすごく綺麗なやつって思えばいい(語彙っ!)

ちなみにうちでユリ期の主役としているのは主にLOとOT。草丈が高く花も大輪で見栄え良く、しかも丈夫で育てやすい。⇧は《トライアンファーター》LOです。トライアンファーターの花期は鉄砲ユリより若干遅くカサブランカよりずっと早い。それに鉄砲ユリはこんな大きくないしもっと清楚なイメージ。

対してAやらAHはバラ期に咲くユリで、LAはそれよりちょっと遅くバラ期とユリ期の繋ぎみたいな感じ・・・なんだけれどもAだかAHだか LAだか解んなくても、とりあえずスカシユリっぽいやつって捉えておけば何とかなる⇩AH《ロリポップ》⇧⇩LA《グランクルー》
庭での植えドコロとしては、AもしくはAHは縁取り部隊のすぐ後ろ。可愛らしさと遅咲きバラとのコラボを狙うならこやつらね。
LAはA・AHよりも若干草丈があるのでもう少し後方に植えでもいい。丈夫さ&庭映え重視ならLAってとこ。
⇩スカシユリと鉄砲ユリ、どちらの面影も感じるLA《ピンクダイヤモンド》

さあ!そしていよいよ真打登場☆彡
私の愛するLOだのOTだのの大型ユリ群!(その割にはなんか曖昧だけど…)
⇧ピンクの鉄砲ユリ!に見えるけど鉄砲ユリそのものではなく、LO系《プリンスプロミス》
⇩こちらもOH系代表カサブランカ!に似てるけどカサブランカではない。生育の強健さや花期から判断するとOT系の何かだと思う。OH系は豪華で華麗だけど、性質的にはそんな頑丈じゃないことが多いのよ・・・・

とかなんとかゴチャゴチャ言ってるけど、要するに⇧⇩みたいなゴージャス系をオリエンタル(カサブランカっぽいやつ)と認識しとくだけでもいい。品種選びの際、手掛かりになります。
⇧OT代表《コンカドール》 ちまたではゴールデンカサブランカの名称で流通。

では、これらのオリエンタル系大型ユリを、庭にどう植えるか。
『オリエンタル系ユリは半日陰を好む。球根を植えたら地面に直射日光が当たらないよう、マルチングするか下草で覆うとよい』
ふむふむ。
とはいえ実際にこれらを庭植えした場合、カバーしたいのは地面だけじゃない。大型ユリのやたらと長い花茎。これを剥き出しにしとくのはちょっと見栄え的に。だからユリの球根を庭に投入するなら、前頁3⃣でご紹介した、大型のグラウンドカバープランツ(株幅だけでなく草丈もそこそこあるやつ)や空間カバー効果が期待できる大型宿根草の傍、出来ればすぐ後ろあたりが狙い目。そうすると見た目も塩梅よく収まりますし、宿根草の草丈に遮られてユリの根元にも日射が届きませんので。もちろん大型宿根草だけでなくバラをはじめとする灌木類を足元隠しに利用しても可。多少難易度はあがりますが(秋に翌年の灌木の株張り具合を目算して球根の埋める位置を決めんのって結構難しいのよ。植えっぱなしにするつもりなら尚の事)より自然風な庭景色が作れると思います。


・・・・7:3??? い、いや・・・・だからこれはあれよ、夏祭り的な・・・・

あぁでもそれで思い出した。大型ユリを複数球植える時の間隔について。
大輪で横向きに咲くO系は、基本的には50センチ以上離したほうが無難かな。⇩参照。あんまりくっつけて植えると、咲いた時に花と花が真正面にぶつかったりして窮屈に見えるんですよね。
一方、鉄砲ユリ系⇩は花型がスリムだからもう少し狭くてもそれなりに大丈夫だけど・・・・でも植えっぱなしにするつもりなら、とりあえず最初はエリア内に散らす感じで離して植えるのをおススメ。なんでかっていうと、鉄砲ユリ系は総じて丈夫で、2,3年で自力での分球が見込めるから。
⇧LO《ホワイトトライアンファーター》球根の大きさにもよるけど草丈150センチくらい。
⇩LかLH《ロートホルン》草丈100センチくらい。花径も⇧より結構小ぶり。元々の鉄砲ユリはこんくらいのサイズ感。トライアンファーターがデカいのよ。
分球。うちのユリ画像がちょいちょいジャンガジャンガになって咲いてるのはこれによるもの。夏に開花を終えてから秋に黄色く枯れるまでに充分チカラを蓄えた球根は、翌年の春には1つの球根から2本の花茎を立ち上げます。だから当初は50センチ間隔で△に3つ植えただけでも、ずっと放っぽっておくと6本になってジャガジャガになる・・・

なので⇩みたいに2本立ったら、その年の冬前に掘っ繰り返して、球根を手でバキッと割ってあげる。で、場所を離してすぐに埋め戻し。その際どうしても球根から小さな鱗片が零れ落ちますが、うちではそれらはまとめて親の株元に埋めときます。それが一番合理的。

もちろん分球出来るか否かは品種や生育環境によっていろいろ。面白いように増えてくのもあれば、増えるドコロか年々弱ってしまいにはいなくなるのもある。まぁ仕方ないですね、プロの花農家さんみたいには出来ませんて。
とはいえ総じてOT系は強健で分球もお上手。
《ニンフ》⇧⇩《ショッキング》下方の派手なヤツね

但し同じく大変強健だけどカノコユリ系は分球しない。ただただひたすら巨大球根になっていく・・・・ゆえに地上部2M越えは通常運転。⇧《ヘンリー》⇩《ブラックビューティー》

ちなみにユリは倒れません。うちではご紹介した通りでかなり沢山の球根を埋めてますが、支柱なんてしたことない。開花期にドンピシャで暴風雨に見舞われたら流石に傾ぎますが、それでも折れた記憶はない。厳密に言うなら普段から危ういのはありますが(T系・最後参照)少なくとも近所のHCとかに流通してる一般的なヤツは大丈夫。
但しユリの球根は深ぁーく埋めること。地上部の高さの2割分くらい埋まってれば倒れない。電柱立てる人が言ってました(え)

とはいえトランペット系はしなるのですよ。。。
もしかしたら、しならないのもあるかもしれないし(今までいろいろ植えてみたんだけど)うちだけなのかもしれないけど(ネットではちゃんと立ってるの見かけるもん)でもしなるもんはしなるのよ。。。花は下向きに咲き、独特の艶っぽさがあってチョー好みなんだけど、難しい。
⇧⇩トランペットリリー《グリーンパレス》
でもこれらT系のことはとりあえず気にしなくていい。なぜなら余程に狙いすまして買い付けるんじゃない限り、フツーお会いすることはほぼないと思うので。(それでも出合ってしまったらそれは運命と思ってヨシ☆) 

その他、シャンデリアリリーだのタケシマだのオトメユリだの、或いはL系もしくはO系なのに真上向いて咲く品種とか諸処例外細々ありますけどそれはまぁ・・・・パッケージ表記を参考にしてそれなりにどうぞ(コラ)

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