私流・草花のプランニング 1⃣ 2⃣

 

ティストウの庭はいわゆる『バラ園』ではありません。もちろんバラをメインキャストに配したローズガーデンであることは確かですが、あくまで『庭』として植栽しています。なのでバラ以外の草木の存在はとても重要。
どのくらい重要かというと、

緑7以上:花3以下

もちろんこれは非常に感覚的な、しかも極めて個人的な主観による重要度の比率。なので、もしかしたら机上論的に感じられるかもしれませんけれども、それなら庭風景における配色比率として捉えてもらってもいいです。葉っぱの緑7以上:花色3以下。それが私の好む庭風景。もちろんバラ最盛期にはうちの庭だってバラ園並に目いっぱい花色だらけにはなってしまいますが、そこはほら。年に一度のお祭りみたいなもんなのでw(お祭り画像は【大きな庭をつくる】の後半にいっぱい貼っ付けときました♪) ので、今頁では出来るだけバラ控えめシーンを中心にチョイスしてお話ししていきます。

それでまず、庭の緑をザックリ2つに分別。

1つは木。様々な枝ぶりで庭の骨格をつくり、季節に沿った変化はあるとしても、春から秋までずっと、庭に豊かな緑を安定供給してくれる存在。どんなにバラが咲き溢れ咲き乱れても乱痴気騒ぎには一切関与せず、落ち着いた威厳を涼やかに保っててくれる、安心と信頼の緑。これに関しても既に【大きな庭をつくる】にてお話ししてますのでここでは割愛。

そしてもう1つは草。草本ということなら1年草や球根モノも含めるべきなのでしょうが、後述する事情によって、緑としては宿根草一択。もちろんこれは『ティストウの庭植栽デザイン担当者の、かなり偏った目線』でのお話になりますから、そのおつもりでテキトーにお付き合い下さいましw

宿根草の本領は緑

多くの宿根草はそれぞれに独自性のある美しい葉と株姿をもっています。もちろん花期になれば花も咲きますが、花期以外でも葉と株はしっかりとした緑の存在感を保ち続けます。美しい庭景色を長期間、しかも出来るだけローメンテナンスで維持したい庭主にとってはこれこそが最重要ポイント。
対して一年草や春咲球根類の本領は花。そして花が終わると葉ごと枯れるのがデフォ。(ハゲイトウとかコリウスとか例外はありますが)
コラボ狙いの植栽でバラの周辺にフワフワの小花を色とりどりに散らしたい気持ちは重々分かります。分かります、が、でもちょおぉ~~~~っと待って。それはあとで何とでもなるから。最優先事項は、

樹木は庭の骨格 宿根草は肉付き

要するに、美しいプロポーションさえあれば、どんなファッションだってそれなりに着こなせる。そういう考え方です。まずはゆがみない骨格。そして整ったボディーラインを。あれこれ着飾るのはその後です。

【ティストウの庭】において、庭のプロポーションが最もはっきりと視えるのは5月半ば、バラの開花直前の頃。(バラが咲き始めてしまうとその圧倒的な華やかさに目晦ましされてしまいますので)もちろん季節の移ろいによって個々の宿根草には生長&変化がありますけれども、私としてはシーズン中の植え替え等は一切したくない派。なので春から秋まで⇩の植栽位置は不慮の事故でもない限り原則的に変わりません。

土とスギナ以外には何もなかった平らな地面に、木と草の緑だけで描き出した景色。
花色の比率がここまで少なくても充分に『庭』らしいと思うし・・・・っていうか個人的には、毎年この時期はこのままバラが咲かなくてもゼンゼン構わない!と思ってる(おい)

もちろん宿根草の咲かせる花々を軽んじている訳ではありません。中には、その花のバリエーションに魅せられて半ばコレクションしているような宿根草もあります。また、そもそも株全体で見た時の緑の存在感が希薄で、『花こそ本領』としたほうが妥当と思えるもあります。が、それでも。
それでも私が植栽をする時、常に心を砕いているのは、葉の形状や株姿の美しさを最大限に活かすこと。
【ティストウの庭】において、そういう私の志向が最もはっきり視えるのが、小路の両側に植栽された宿根草群です。

1⃣ 境界を描く

うちの場合、小路と植栽エリアの地面を隔てるものはこの緑しかないので(フロントガーデンはペイピングしていますが)このラインが崩れるということは、庭のカタチそのものが崩れるということ。ですから縁取りとして植えるなら、⇩の2つの条件に適うことが必須となります。

・長期に渡って一定のボリュームある緑をしっかり維持する
・雨が降ろうが花が咲こうが、そうそう容易く倒れ伏さない

天候如何で庭が乱れるのは自然の摂理。
だからこそ⇧の2つの条件は絶対に適えておきたい。
特にうちは「散策してなんぼ♪ 」の回遊式ガーデンです。にも拘わらずお客様が庭にいざ足を踏み出そうとした時、それを躊躇わせる何かがあってはならないと考えます。そしてその躊躇わせる何かの正体とは・・・・スカートの裾がびしょ濡れになる不安。これこそが乱れた庭をより強く印象づけるモノだと思ったんですよね。
逆に言うと、万が一植栽エリアのバラ達がかなり残念なアリサマとなっていても、通路にだけは何の影響も及ぼしておらず問題なく散策出来る状態にあれば、「雨の庭ってこれはこれで風情あるよねー♪」って言ってもらえる(笑)。バラ期後半が梅雨に丸被りする当地では、極めて現実的なテクニック(…?)となっています。

また庭主目線で言ったとしても、雨露にびしょ濡れて倒れ込んだ草花が通路を塞いでるシーンを想像すると・・・・・庭主はうんざりせずにはいられないでしょう? 雨上がりの庭の立て直し作業はホント大変ですからねぇ。ましてやお客様がいらっしゃる予定があったりなんかした時にはウンザリ通り越して蒼白です。
だったら最初から雨風に負けない宿根草で境界を描き、通路を堅守すればいい。
実際「通路だけは大丈夫」って確信が持てれば、雨が降ってもそうそう狼狽えることはなくなります。更には立て直し作業そのものも手際よく進められますから、庭主の労苦は確実に減るってゆー次第ですw

要するに何時いかなる時でも最低限の美観を保てる安定感こそ大事ってことなんですよね。プランツサポート等に頼るのは出来るだけ後回し。まずは素でいける選択をするのが私の流儀。

・・・・って解かった風に言ってるけど実際は、バラ様がいろいろ手ぇかかる御方だからシーズン中はその他モロモロの草花やら何やらまでメンド―見切れるかーーーーッ!ってゆー・・・諸々お察し下され(笑)。
もちろん、風雨によって植栽植物が倒れ込んでも大丈夫な余白空間(通路幅とか芝生とか)や寛大な心ですべてをありのまま受け入れる度量のあるガーデナーの場合は、上記の条件など必要ないのかもしれません。また、宿根草以外のエッジアイテム(レンガとか枕木とか)をふんだんに取り入れることで問題を解決出来るのなら、それもまたひとつのスタイル。

あぁ・・・・とはいえ念のため注釈いれときます。
私、縁取り縁取り言ってますけど、植栽エリアをグルッと一周草花で囲む、ってコトではないです。それやると途端に花壇的な見栄えになっちゃいますので。
⇩のように、既に植えられているシュラブ類がそのまま境界になっているのであればムリして縁取る必要はありませんし、

境界としてシュラブだけでは描き切れなかった部分を宿根草で補足する、って感じであれば、よりガーデンっぽい景色になるかな、と思います。
例えば⇩で解説すると、シュラブとして左手前に《ノリウツギ》奥のほうに《ヒペリカム》《牡丹》が配されて境界となっていますが、その間にある部分は《リアトリス》《ヘメロカリス》が補足してる、って状態。

まぁ実際の話でいえば、宿根草だけで縁取りするほうがお手軽なんですけれども、やっぱ樹木の安定感というか威厳はあったほうが、美観の幅は絶対的にあがるんですよね。
ついでにもうひとつ、縁取りの植栽に関して見栄え的なコツ(…?)をあげますと、

●任意の一地点から庭を眺めた時、実際に視界に入る範囲をひとつの景色と捉えるコト

要するに、たとえ境界線として一続きに繋がってるラインであっても、同時に視界に収まるのでなければ別エリアとしてデザイン(植栽)する。こうすると・・・って、すみませぇ~ん言いたいことがうまく伝えられてる自信ない・・・・でももし伝わったのであれば、その結果どんな効果が得られるか?までお察し頂けるののではないかと(丸投げ!?)

ちなみにうちでは、ブッシュローズの手前に植える宿根草は、通常時の草丈が30~50センチくらいのものが選ばれることが多いです。大型シュラブの手前なら60センチ以上の宿根草を植えることも。エリアの縁取りだけを目的に植えるなら30センチ以下のごく低性のものだけでも充分役目は果たされるでしょうが、うちの場合はここにガーデンデザイン上の意図が絡んできてましてそういうコトになってます。

この『デザイン上の意図』とは、まずひとつは、小路の両側を縁取っている宿根草群を膝丈以上にすることで、散策時、まるで森の中に分け入って歩き回ってるような気分になれるのを狙ってのコト。もちろん実際の森の中はそんなファンタジックじゃないのは百も承知。でもだからこそ、いつか絵本に出てきた森の中、あるいは物語の中に入り込めたらすごく楽しいじゃない?そんな感じで。でもまぁこれに関しては庭主のチョーチョー個人的な趣味嗜好の案件なので些末といえば些末ですが。

けれどももうひとつの意図は。
一般的に言ったらこっちはかなり重要案件かもしれない。それが、

2⃣ バラの足元を隠す

「そうそう!これこれ!こういうのがやりたいの!」

そうおっしゃる方は多いと思います。実際私もそうでしたし。雑誌でみた華麗なローズガーデンではいつでも、バラの足元&地面を様々な草花が覆い隠していて、夢見るようなバラ色の空間を浮かび上がらせていました。
でも。
そこでそれを真似しようとして買ったばかりのポット苗を手に、既に植わっているバラの前に立った時・・・・・・ハタと戸惑ったこと、ないですか?

「バラと宿根草って、どのくらいの間隔で植えるのが正解?」

それで今度はバラ栽培についてググってみたり専門書を開いてみると、そもそもバラの根元には草花を植えない方が良い、って書いてたりもしたりして。

・・・まぁ、理屈としては解るんですヨ。バラ栽培それだけを考えるなら道理ですもん。
*肥料を与えるスペースがなくなる&肥料の奪い合いになる
*風通しが悪くなることで、病気に罹りやすく、しかも蔓延しやすくなる
*日光を遮り生育を邪魔する

とはいえ・・・・・・・とはいえ、ですヨ!
バラの周辺になんも植えられなかったら、そんなん庭にならないじゃん!

ってな訳で、【ティストウの庭】植栽担当者(私!)が、バラの傍に宿根草を植える時に考えていることは。

◎バラの真下に植えず、真下を隠す

この場合『真下』というのは⇩でいう点線の内側で←→の部分なんですけれども、

この部分は地下にバラの根っこが張ってる云わばサンクチュアリ。
当然のごとく生育期には出来る限り触りたくないし、草花の根っこで侵食されるのもノーサンキュー。
←→で表した面積は、
標準的なブッシュローズであれば株元を中心に直径50センチくらい(すみませんメジャーで計った訳ではないのでだいたいですが) 但しどんなにコンパクトなバラであっても直径40センチくらいは最低限確保したいし、逆にかなり大型のシュラブやツルバラだとしてもせいぜい60センチ程度確保できれば生育上は問題ないと思う。
これは
流通しているバラの台木がほぼ同一品種(ノイバラ)であることから考えても道理かと。とはいえこのサンクチュアリは当然『無骨な幹枝や周辺地面の土が丸見えになっている部分』でもありまして。

するとガーデナーとしてはとにかく無性になんか植えたくなる(でしょ?) 例えば草丈のないアジュガとかヒューケラとか、とりあえずグランドカバー的な何かを思いめぐらす。あるいはバラの足元特有のモノ寂しさに彩を添える目的で一年草とか・・・?
でもそれ、実際にやっても
正直思ったほどキレイには見えなくないですか? そもそも隠したいものは案外何も隠れてくれてなかったり。しかも肥料やりの時とか非常に邪魔。

だったらどうすればいいか。
要は、『バラの真下には何も植えてないけど、そこは見えない』ならいいんだから、


こういうこと。要するに『サンクチュアリを死角いれる植栽』をすればいい。
するとバラに対して、どこにどんな草花を植えれば目隠し、或いは彩としての効果を得られるか?という疑問の解答が得られるってわけ。
バラと人との距離(位置関係)は庭の在り様によってさまざまでしょうから決して一概には言えませんけれど、『うちの場合は草丈30~50センチが選ばれやすい』っていうのはつまりそういうことです。
ちなみに当然のことながらこの考え方は、バラ以外の樹々や草花でも役立てることが出来ます。例えば・・・・牡丹とかユリとか。お心当たりの方はどうぞ頭の片隅にでも。

で、ここで間違えたくないことは、その場合に必要とされる草丈っていうのはあくまで『御本人の通常運転時の草丈』だということ。決して花期のMAX丈ではありません。苗タグや基本情報ベース等に記載されてる草丈って、フツーこのMAX丈なんですよね。花期と通常時の株姿や草丈が殆ど変わらないものなら別に気にしなくていいのですが。

一般に、庭に草花を植える時の基本として『手前には草丈の低いものを、奥になるに従って高いものを』と言われています。
・・・・それは、そう。そうでしょうとも。
ですけれども実際にそれを実践しようとして、まずは草丈を確認し、その上で適宜な位置に植え付けたハズなのに、なんか上手くいかなかった・・・って心当たり、ありません? あるとすればおそらく、考慮しなければならない草丈をMAX丈で認識してたせいもあるんじゃないかと。
「タグ記載は草丈40センチ。だからバラの株元を隠せると思ったのに、その草丈は春の開花時一週間のみ。あとの季節ではすべて10センチ止まりだったから結局なんにも隠れなかった・・・」とまぁそんな感じ。

逆のケースもあります。分かりやすい例として・・・へメロカリスとか。
勿論へメロも小型種から大型種までありますから一律にはいきませんけど、とりあえず⇩の品種の場合『草丈100センチ 開花時期7月下旬』 これが苗タグ記載の基本情報だったとすると、

このへメロをバラと混植してコラボさせようという方はなかなかいないでしょう。草丈といい、花期といい、まったく合いませんし。なにより花が原色系。
けれど⇧は炎天下の庭にての、たった2週間程度の艶姿。ギラギラな太陽光線下では優しげなニュアンスカラーなんてすべて明後日のどっかにぶっ飛びますから、庭映えの視点ではド派手に振り切って正解。
そして花期ではない通常運転時はどうなってるかというと⇩だいたい⇧⇩な感じ。中型のグラスとして粛々と任務遂行。
もちろん夏過ぎにはある程度くたびれますがそれでも草丈50センチ程度でアーチングした剣葉を茂らせてるこの姿がこの方の基本形態。だからバラの足元隠しとして充分に使えるという訳。しかも女王様がバカンスを楽しんでる間は主役すらこなしてくれる。当庭で私が主力部隊と呼び、特に篤い信頼をおいているのはこうした宿根草群です。
(※ただし品種や環境によっては夏場の葉傷みが目立つことから、いっそ刈り上げることもあります。すると流石に⇧の状態までは全面復旧しませんが、縁取り程度にはまたそこそこ生えてきます)

別の言い方をすると『バラが咲かなくなって庭は庭だけど、こやつらがいなけりゃ庭にはならん!』ってレベルの方々。折角ですからここで当庭の主力部隊・・・のなかでも特に屈指!のツワモノたちをご紹介致します。私と同じように、試行錯誤と紆余曲折を繰り返しながら庭づくりをしている、どなたかのご参考になれば。

《キョウカノコ》

かなり早春から芽吹き(チューリップの時期には既に⇩)後は霜の降りるまで~と、非常に長期間モッサリを保ちます(褒めてます!) 日陰に強いし日向でもOK。列植・単植問いません。いつでもどこでも確実にモッサリ(すごく褒めてます!)⇧の右手前の牡丹が咲くと⇩   緑のエッジは最大の戦力。⇩咲くとこんな感じ
うちでは至るところで仕事してます。⇧のような縁取りはもちろんですが、大型シュラブやツルバラの足元隠しなんかにはもってこいだし、次頁の諸々カバーも得意。まさにオールマイティー。
⇩左下端は色違いじゃなくオニシモツケ。パッと見そっくりですが性質的にはキョウカノコより立性なので扱い(役割)がちょい違います。とはいえこれもこれで庭中で働いてます。
花期は違いますが《黒花フウロ》《水引草》⇩なども《キョウカノコ》に準じて扱えます。いずれも信頼度最上級。

《芍薬》

品種による高低が若干あるものの、通常時の株姿はキョウカノコと同程度のサイズ感。なのでこれも縁取り&足元隠しとして有用。(但し特に高性種の場合は花首(茎)がかなり長くなるので手前だと花期の植栽バランスがイマイチになるかも)とはいえキョウカノコと違ってやっぱ芍薬は日当たりを好むので、そういうトコロで優先。
花期は品種によって早⇔遅あるので、バラ期開幕前の主役を狙うか、花色の相乗効果を狙うかは状況次第。


⇧は5月なのでつぼみがあがった状態ですが、花後はそれが無くなるだけ⇩ 微妙に角度違いますが同じ芍薬のエリア7月後半です

《シラン》

⇧は斑入り白花種 ⇩はフツー種
日陰にも強いし、広い面積を埋めるのにも隙間的なピンポイントにも使える。
⇧は5月初旬芽吹きの頃。後方の水仙の葉は花後だれますが、速やかにシランの葉に隠れて視界から消え去るしくみ。
6月⇧上旬 ⇩下旬
⇧花期終盤になって乱れ始めたら花穂を引っこ抜く。9割がた抜いたのが⇩
最終的には残ってる花穂が全部引っこ抜かれて、ハランもどきな見目で夏越えします。
そして⇩9月。春に水仙のあったあたりに植えてるガウラを彩りに第3ステージ。ガウラは美しいし花期も長いのでいいんですけど倒れ伏したがるので、縁取りにはちょっと向かない。なのでシランの葉っぱに支えてもらえる後方に。
・・・あーーー、すみません、全体を撮ってないんですけど最終ステージ⇩11月初旬。ティストウの庭の最終便、野紺菊を添えて。 黄変までが絵になります

《アヤメ》

立性の細く硬い剣葉は使いドコロ満載。列植はもちろんですが、「空間的にはちょい狭いかもだけど、でもここは草丈のある宿根草が必要で…」なんて時にすごく重宝。但し日陰には向きません。
うちでは芍薬とコーディネートしてることが多いです。花期が揃うのも要因ですが、シーズン通しての葉姿、あるいは風情的なものが好相性なので。

早咲きバラとならコラボ可能。そして⇧の花後が⇩ 目立ってるのはアスチルベだけど剣葉◎
経験上からの注意事項としては、アヤメ類は春~開花までの間は絶対に移植しないこと。確実にいじけます。本来の移植&株分け適期は開花終了時なんでしょうけど、でもその時期にしてしまうと隣近所の植栽まで乱れますし、夏越が不安。なのでうちでは秋。しかも出来るだけ早いうちに。それでも翌年は若干パフォーマンスが落ちますが、春に移植してあとのシーズンを全て捧に振るよりはずっとマシ。

よく似た花菖蒲も同様の扱いが出来ますが、プランニング上の大きな違いとなるのは花期。アヤメはバラ期開幕に先駆けて咲き始め、花菖蒲はバラ期終盤の頃。
また花菖蒲は古くからの園芸品種がいっぱいあるだけに、花容と花色は嵌れば底なしがごときバリエーション。葉っぱはアヤメより若干幅広で、機嫌が良ければ秋までにかなり大柄に育ちます。観光地とかの水生イメージがありますが、経験上からいうとガーデンプランツとしてフツーに扱えます。
ちなみにカキツバタはうちにはありません(・・・ほぼ) 理由は花期がバラ最盛期なのでその時期はもうこれ以上花色を増やしたくないという、極めて現実的なついでにジャーマンアイリス⇧はアヤメと同じ花期で、かつもっと大輪でゴージャスな印象。花色のバリエーションも虹色といわれるだけ豊富ですし、葉の具合も非常に造形的。なのでうちにもケッコー沢山あることはありますが・・・・・生態が球根と宿根草の中間くらいな感じなので夏以降の葉を美しく保つのがかなり難しく(多分気候と土の肥え具合が絡んでいるので)よって最前列には出しにくい類。
ダッチアイリスは完全に球根花。なので花後枯れる葉っぱをどうにかする工夫が必要。

《ハイブリッド芍薬》

・・・つか、ハイブリッド芍薬が草本かどうかは微妙なところですが、とりあえず宿根草ガーデンの主役として私激推し。
花期は牡丹が咲き終わってからバラが咲くまでの間(一部早咲きバラと被ります)
草丈は芍薬より低く収まりますので使い勝手は非常によいです。但し年を経るごとに横幅を要する株になっていくので(他の宿根草同様、秋に株分け出来ますが)植え場所にはご配慮。
⇩は比較として。赤いのは芍薬。対岸の白いのがハイブリッド芍薬。品種が違ったとしても草丈の違いはほぼこんな感じ。ガーデンデザイン上の適材適所でどうぞ。
折角だから季節に沿って。4月⇩
5月⇩

6月⇩

⇧⇩逆サイドから。 奥と手前の黄色いバラが同一株
ご覧のように、緑として安定してるから庭主としてはホント助かる。だってほっといてもキレイでいてくれるからこそ、景色全体を心安らかに眺めていられるわけで。

 

《アスチルベ》

うちの庭画像でアスチルベがまったく写ってないもののほうが稀かもしんない。日陰日向問わず、丈夫でお利口さんで使い勝手の良さ抜群。色のバリエーションも豊富ですし、草丈や花期もいろいろ。 なので芍薬&アヤメ、あるいはバラ、あるいはユリ&アジサイともコラボ可能。

《西洋オダマキ》

常に主力扱いしてる感じではないけれど、植栽の中にちょいちょい挟んで変化をつけたり全体の調子を整えたりするのに極めて有用。


こぼれ種で至る処にいます。日向日陰問いません。故意では決して植えないような場所にも平気で居ついてます。基本的には御本人の居たいところにそのまま居させてますが(どこにあっても馴染み切ってしまって邪魔に感じないので。しかも根っこがあれだからたとえバラや牡丹の根株に生えちゃっててもフツーに許されてる特殊事情⇩)
それでもその葉株の美しさと機能性を見込まれ、庭主によって前線に出されることもしばしば。困った時のお助けプランツ。

って、もう折角なんでどんどんいきます!
主なキャストは既述の《ハイブリッド芍薬》《アヤメ》《アスチルベ》《西洋オダマキ》《ペンステモン ハスカーレッド》にて、5月半ばからほぼ一週間ごとの変化を⇩





手前の黒葉はペンステモン“ハスカーレッド”  いろいろ植えてみたけどうちの庭で私の信用度が高いのはペンステモンの中でハスカーレッドのみ。他の品種はうちの庭では生育がおとなし過ぎて(もしくは耐寒性が…)主力として頼りに出来るほどでは。別エリアですが丁度⇧の左端の赤バラが⇩の右最奥に写ってますので季節的には引き継ぎとして⇧⇩行ったり来たりしてますが同一エリアの変化を。


⇩アスチルベの花穂を刈り取った後の株姿はこんな感じ。
更に別エリアですが、⇩がアスチルベ秋の黄葉・・・って分かります?

ともかくこんな風にガーデンシーズンを最後の最後まで楽しめるのは、秋まで変わらずしっかり残ってくれる宿根草の葉株あればこそ。特に夏以降はバラ様がかなりワイルドな御姿におなりあそばしてるもんで尚の事、庭として最低限の体裁は保つためには。

 

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