私流・草花のプランニング 3⃣

前頁では、庭に宿根草を植える時、その役割について⇩のふたつの視点からお話しました。
1⃣  境界を描く 2⃣  バラの足元を隠す

実際の話、さほど広くないお庭であれば、これだけでも充分それなりな感じの庭景色になるんじゃないかと思います。今まで花重視で宿根草を選び、バラとのコーディネートに注力なさってた方にとっては物足りなく感じるかもしれませんが(だからコラボさせたいの!小花を散らしたいのよ…!って思ってません?)でももし、インスタ映えするような、或いはガーデニング上級者っぽい庭にしたいのなら花にだけ踊らされず、まずはしっかりとした緑を確保するコトをおススメします。

ならば宿根草の緑によって境界を描き、バラの足元を隠したら、それだけで庭になるのか?といえば、もちろんそれはまだ。
そこそこの広さがある庭であれば、縁取りされたエリア内にはまだまだ土の地面が見えていますでしょ。これをなんとかしないことには。

まぁ極端ですけれども⇧うちのバックヤード。おもに庭デビュー前の幼いコたちの養成所になってる一角なんですけど、でもこれ、どう見たって庭って感じはしないでしょ。実際ただの畑だし。
対して⇩は庭の中

ね? やっぱ花って緑の中で咲いててナンボなのよ。豊かな緑の中で色鮮やかに咲くからこそ瑞々しく映える。背景が剥き出しの地面だと映えもお洒落もムリゲーです。

3⃣ 地面を覆う

但し一般にグラウンドカバープランツといえば、例えばシバザクラとかイワダレソウとかグレコマとかetc.etc…とにかく這い広がって地面を覆い尽くすような植物のことだったりもしますので、そういうものたちの役割としては、雑草除けとか泥はね防止とかそんなのまで含まれるみたいですが(ちなみにうちでは芝生変わりにクローバー生やしてたり⇩)でも今からするのはそういうのじゃなくて、あくまで混植ガーデンの限られた植栽エリア内でのお話。だから繁殖力がやたら強くてほっとくとあっという間に何処までも広がっていく方々のことは今は前提として除外させてもらいます。
要するに⇧じゃなく、⇩みたいな感じにする時の宿根草について。

・・・ただしガーデニング歴がまだ浅い方向けにちょっと注釈をいれときます。
巷でよくみる⇧⇩な感じの植栽画像って、植え付けから数年以上経ってのシーンと考えて下さい。手に入れたばかりの小苗をキツキツにくっつけて植えるのは違います。寄せ植えとして楽しむのならそれはそれとも思いますが、まずは草花ファーストでのびのび育ててみてはいかがでしょう。そうすれば植栽植物そのものの性質や個性がはっきりと把握出来ますし(AI情報だけでは決して現実の庭は作れません)ひいてはそれこそがガーデナーとしてのキャリアとスキルアップに繋がるような気がします。
それから、急いで無理して今すぐに地面を覆い尽くそうとする必要はありません。ありませんけどとりあえず、庭ではそういう役割を持った宿根草が必要だということを覚えておいて頂ければ、いつかはきっとお役に立ちます。

さてそれでは、どんな宿根草が地面を覆うのに適しているか。
といっても前頁で紹介してた、縁取り&足元隠しに実力を発揮する宿根草群も、場合によっては充分グラウンドカバーの役割を果たすことが出来ます。
ただ、地面を覆うことに威力を発揮する性質(生態)というものもある。

・密に茂る葉っぱで自身の株元地面を覆い、更には横広がり(横張り)に生長していく
・真横から見た時より、真上から見下ろした時のほうがカッコよく見える

基本的に⇧の性質が強ければ強いほど、グラウンドカバー向きな宿根草と言えるでしょう。
なので草丈に関わらず、株張りのサイズ感によって植えドコロを決めるべき。
・・・・まぁ、ぐだぐだ言うより実例を挙げたほうが手っ取り早そうなので⇩ご参照

《ホスタ》

数多の品種がありますのでコレクションしてるガーデナーも多いですよね。葉の色柄はもちろん、サイズ感も⇩みたいなのから御猪口で育てられるものまでヨリドリミドリ。グラウンドカバープランツの首席代表ともいえる存在ですが、状況と品種(サイズ!)によっては縁取りとしても充分使えます。
日陰に強いですが混植ガーデン内ならワリと何処でもいけます。それでも夏場に葉が灼けるようなら、もそっとよろしき場所に(移植&株分けは秋がおススメ)


⇧は、背後に列植されたアジサイ群が冬越しに失敗した時の保険として(真顔)。当地ではたまにあんのよね~・・・耐寒性がギリだから。
⇧⇩頭が重くて倒れがちなアナベルすら葉株で受け止める断固たるライン&カバー力。いつもありがとうございます! ちなみにそれ以外に見え隠れしてる宿根草は《ヘメロカリス》《プリムラ》《オニシモツケ》《アスチルベ》など・・・・ついでに影は《クガイソウ》w
ともかくこのように非常に有能プランツであることは確かなんですが・・・但し特記事項がひとつだけあります。
バラの足元にだけは不向き
葉っぱが真上を向いて展開しているので花弁受けみたくなっちゃうせいもあるんですが⇩それよりも深刻な問題は、葉に散り落ちた花弁がピタッと貼り付いてしまって、しかもお顔のシミみたいにずっと残るコト(怖っ) テクスチャ―の相性なんかな?ともかく他の葉っぱ類ではあまり気にならない事案です。もちろん散った直後でカラッ晴れてれば箒でささっと払えるのでセーフとなりますが、朝露とかで少しでも湿り気があったらアウト。絶対にキレイな状態には戻せないとお心積もりを。
葉を大事に保つことで秋の黄葉まで楽しめます

《トリアシショウマ》

夏咲の大型アスチルベ的な。⇩だけ見ると「…どこがグラウンドカバー?」でしょうが、

花期は10日程度で(山野草系の宿根草は大体そんなもん)他のシーズンは草丈50センチ程度に収まり、しかもかなーり横張な株姿。更には結構な大株にしとかないと⇧⇩みたいな花穂は立ちにくいです。
なので私の扱いはグラウンドカバーに準じるって訳。(そういやアスチルベのチョコレート将軍もそう。アヤツもグラウンドカバー的に扱ったほうが上手くいく)


とはいえ場合によっては最前列におくことも。ちょい分かり難いけど⇧道の突き当りみたいに見えてる部分がそう。花茎が硬いらしくこう見えて花穂が倒れにくいので(さすがに土砂降りは持ちこたえきれないけど)たまには野趣を楽しむのもいいかな、とか⇩


よく似てるけど⇩《ヤマブキショウマ》は通常時の草丈がそこそこあるのでグラウンドカバーと大型シュラブの足元隠しを兼任できる。画像だとちょっと倒れ伏してるようにも見えるけど、しっかり立ってます。さすが山野の自生種。
花期はトリアシよりひと月早く、バラ期ど真ん中。ちなみに《サラシナショウマ》は地面からスクッと立ちあがった株姿なので、案外グラウンドカバーって感じではないかな。もちろんいっぱい群生してる状態ならあれですが。

《シュウメイギク》


これも一般的にはグランドカバーとして紹介されることは少ないでしょうが、性質的には極めてそれ。秋にこうして立ち上がる以外はまるっきりグラウンドカバー。
しかもホスタやショウマを植えるには或る程度まとまった面積の地面を要するのに対し、シュウメイギクは、たとえば中途半端に空いちゃってどっちつかずみたいになってるようなスペースでOK。植えられた場所で周囲の空気読みながらとりあえず大株に育ち、その上で周辺に手頃な空きスペースを見つけると勝手に出向してって適宜カバーしてくれるAIシステム(笑)。増えすぎて困るって話もありますけど、まぁモノは見様ですから。少なくともうちのような庭ではガーデナーによって頼もしい味方となります。こうみえて花茎も倒れにくいですしね。
・・・あー、でもバラの足元になる時はほどほど気を付けたほうが。土が肥えすぎてると巨大化して却って倒伏します故。

《クリスマスローズ》

縁取り&グラウンドカバーとして使える宿根草。ヨッポドでない限り日陰日向問わず、放任上等で、乱れ知らず。既述の宿根草画像のそこかしこにワサワサ写りこんでますので、ここでは敢えて花期を⇩に。早春からバラ期まで、風情を変えながらも美しく保たれる咲き姿。

うちでの栽培マニュアルは、1.春過ぎにセールされてる小苗を買ってきてどっかテキトーな木陰or隙間にこそっと植えとく。2.数年程度その存在を忘れる 3.ご立派になったら正式に庭デビュー  まぁ、そんな感じ(笑) ちなみに春に見つけた自然発芽のおちびちゃんらはそのままに。育っていずれ独り立ち出来る感じになるまでは親元に置くほうが何かとね。
草丈的にバラの足元隠しも場合によっては出来ますが、経年で育つほどに横張な株になっていきます。ので、植え場所にはそこそこご配慮を。

ひと通り咲き誇ったのち、花を残したまま葉っぱ展開。あとはだいたい⇧な感じで秋まで。右隣の明るい緑は白花の《イカリソウ》ついでに⇩も扱い自体は案外クリスマスローズに準じていいかな。パッと見、花も葉も大変細やかなので繊細可憐な方かと思いきや、もっすごい頑強な根株を持つので驚くほど丈夫。にも拘らず生育期に暴れたり乱れたりは一切せずキッチリとした緑をじっと保ち続けますので、至る処で重宝してます。但しもっすごい頑強な根株を持つので(2度言いました)バラの足元に置くなら少なくとも2、3年に一度は株分けしてリセット推奨(ほっとくと鋸の刃さえ立たない根株になる)

《アルケミラモリス》


葉っぱの美しさと機能性のみならず、特筆すべき花穂。花期が非常に長く、少なくとも2カ月程度はほぼこんな感じ⇧⇩ バラや他のプランツともよく馴染み、花なんだけど緑のような存在。フワフワ系の宿命として梅雨に入れば流石に倒れ伏しますが、しっかりとした葉株に支えられていることと、花茎が案外硬いことによって、アルケミラの花穂だけは梅雨払いするとワリと持ち上がります。ので、縁取りとして使うことも多々。日陰の地面を明るく見せたい時には真っ先に選考するべきプランツ。もちろん日向でもOK。
夏頃になって全体にくすんできたら花穂をカット。すればヒューケラ似の葉っぱが株姿となります。


⇧⇩逆サイドからですが同一株。ヤブランの穂の状態からして晩秋あたりですね⇩あぁそだ、ちょい注意書きをいれときます。
根っこが相当ご立派なのですよ。前述のイカリソウとは違うタイプですが、こちらはいうなれば自身の支配区域を着々と拡大していくタイプ。花があまりにも美しくバラの足元を隠して彩るが故ついついすぐ傍に植えたくなるんですが、そういう訳なんで植えるならほどほど離してあげたほうが。あっというまにサンクチュアリに侵攻しますのでお気をつけ下され。もしこんな葉っぱで、もっとコンパクトな株姿を望むなら⇩

《ヒューケラ》

葉色のカラフルなバリエーションと扱いやすさから巷でも大人気なコレクターズアイテム。丈夫で縁取りも兼任できるタイプなので、うちでも数多く投入されてます。

⇧⇩もちろん緑葉系のもありますが、うちの場合は他の宿根草類との兼ね合いで赤葉・黒葉のを重用する傾向があるかも。
⇩は縁取りっぽく植栽してますが、通路に立った時にほぼ真上から見下ろして見えてしまう土の部分なので、グラウンドカバー要素のある宿根草をチョイスしています。その他《ミヤコワスレ》《ブルンネラ》《クリスマスローズ》《ハナショウブ》・・・・・あれ《アスチルベ》もいますね。
あぁ、そうだ、折角なんで近種の《ティアレア》⇩との違いを。

ティアレアのほうがグラウンドカバーには特化。ヒューケラよりも地表近くで葉を茂らせ、あくまで低くカーペット状に広がっていく感じ。
対してヒューケラは、経年のうちに木化した株元から芽が増え、そこを基軸に葉を展開させていく。なので生長に従ってワリと草丈が出るし、当初植えた場所からは大きく動かない。
つまりヒューケラは点、ティアレアは面のグラウンドカバー。そこが植栽するなら押さえておくべき違いかな。

《アストランティア》

えぇ~っと但しこれ、寒冷地限定らしいです。うちでは御覧のように⇩放任上等!必要なら株分けしてくれても構わなくってよ?ってな感じですけど、何やら暖地ではお姫様扱いされてるそうな。。。
まぁ、とりあえず気候さえ合えば、丈夫で使い勝手非常に◎な宿根草です。葉株自体は低くこんもり茂るので、縁取りとグラウンドカバーを兼任できるタイプ。

うちのは春は輝かしいばかりの斑入り種⇩ ⇧の頃にはフツーの緑になるのが惜しいですがそれだけに野の花っぽいナチュラルな感じでそれもまた良し。

《フウチソウ》

基本的に大型種として扱うべきプランツ。縞斑のものはワリと日向でも行けますが、⇩のような黄金葉は直射日光で葉焼けしますのでご配慮。

大株になるにつれ株張りだけでなく、草丈もかなりになるので迫力あります。大好き♪

余談ですけれども風知草に関して、うちの庭では小苗時代に相当てこずりました。いくら買って植えても庭にうまく居ついてもらえなくて・・・・それで諦めかけてた時、山野草好きなお義母さんから「秋に触んないでおいてみ?」とアドバイスされ、結果あっけなく楽勝モード突入。これ、どういうことなのか私なりに考えたんだけど・・・おそらく耐寒性がまるでない訳ではないけど、小苗の頃は根株が覚束ないだけに霜やら地面凍結やらによるダメージを被りやすい。だから移植や葉の刈り上げによって無為に傷つけないよう、せめて『触んないでおく』・・・・・う゛ぅ~~~ん、深いなぁ・・・・もちろんこれで理屈的に合ってるかどうかは分かりませんけど、実際今では秋に移植したり株分けしたりしても問題ないほどの大株に生長してまして、あんなに手こずってたのがウソみたいに今では庭の至るところに。
ちなみに風知草ほど大型化を望まないけどグラスは欲しい、ということであれば、《姫シャガ》⇧ 《カレックス》⇩ 《ヤブラン》⇩なんかがおすすめ。これらは縁取り、場合によっては足元隠しも兼任出来るタイプです。
但しカレックスには『秋に触んない法』が適用されます。フウチソウの場合より顕著で、どんなに大株になってても秋に株分けして冬越え出来るか否かは五分五分以下の勝率。一方ヤブランなんかはヘタすると掘り上げたまんまでも生きてるくらい無敵。
まぁグラスとしていうなら、日照条件によっては《へメロカリス》《アガパンサス》《ツルバキア》《宿根アリウム》《ツユクサ》もそう捉えていいと思う。花も咲くし。但しこれらにも皆それぞれに性質と個性があります。詳しくは一度【ティストウの庭】に来て頂ければ・・・・もしくはご本人に直接お問合せをw

っと、ここでひとつ注意事項を。
上記で私、花期のMAX丈には関わらず、株の性質によってグラウンドカバーに向く宿根草を挙げてみたんですけれども、だったら植栽の時、花丈はまったく無視していいかというと勿論そんな訳はなく。
総じて株張りや横張性の強い大型品種は、それ相応の花茎or花穂を高く立ち上げます。それがその植物の晴れ姿。いくら普段はグラウンドカバーという非常に地味な任務を担わせているとしても、花期の一時だけは思う存分のびのびと咲き誇って欲しい・・・! それが情ってやつ(笑)。
たとえば⇧のアガパンサスを⇩の感じで植えた場合、

前頁でお話した通りサンクチュアリ(バラの根っこがある場所)を直径60センチ位と見積もると、⇧のようにシュラブの真下にまで植栽出来たりします。もちろんそれはそれで構わない。でも花期になると⇩


これはアガパンサスばかりでなく、植物全般の基本的な性質。残念ながら「バラの枝と枝のあいだを搔い潜ってコラボして咲く♡」ことは、ほぼありえないと思ってたほうがいい。

植物は、隣に自分より強い何かがあれば、それを避けるために曲がったり倒れたりしながら生長します。嫋やかな姿の草花であれば然もありなんとすぐに想像出来るでしょうが、たとえ天上に向かって一直線!ゴン太な花茎をぐんぐん伸ばすユリであっても、隣から何かしらの圧を感じれば見事にカービングして衝突を回避し、自身の占有空間を確保します。
樹木だってそう。何かある、あるいは混雑してる方向には枝を伸ばさないし出さないようにしてる。だからバラ同士のコラボを狙って隣り合わせに植える場合でも、本人の枝張り幅を無視するほどくっつけては植えないのです。おとなしいほう、もしくは両方がいびつな樹形に育つことになりますから。もちろんそれを承知した上でなら、あえてにくっつけて植えるのもテクニックのひとつとなりますが、花のコラボを狙いたいだけなら適切な距離感でどうぞ。そもそもコラボはくっつけて植えればいいって訳じゃないですし。
・・・って脱線しました。戻します。
兎も角、ではグラウンドカバープランツをどう植えたらいいか?というと、立ち上がらないグラウンドカバープランツを選ぶか、上空に適宜なスペースがある場所に植えるか。いやいや視覚的にいって、そもそもその場所に何かを植える必要がホントにあるのか否か・・・・・ま、悩みだしたらキリがないんですけれどもとりあえず。
あ、それと⇧の図はアガパンサスは夏の花だからバラとのコラボを狙ってもそもそもムリ、ってオチを表現しています(笑)。
⇧とはまるで違って見えるけど、《タマザキシモツケ》⇩も通常時は極めて低いので、立ち上がり系のグラウンドカバー扱い。花期はバラ期終わり~ユリ期始まりの頃。

さて。とりあえずここまで紹介してきた宿根草は、花期に立ち上がろうがなかろうが、葉を密にしっかりと茂らせ、かつ横張の株姿である『グラウンドカバーに向く宿根草』でした。
ところがそうではなく、『グラウンドカバーとして扱わざるを得ない宿根草』というものもありまして。ぱっと思いつく限りで2タイプ。

●花期に はしゃぐタイプ

株姿が不安定なうえに、花期に咲き乱れて収拾が・・・・・まぁこれに関しては次頁にて。

●根っこが走るタイプ


⇧はプリムラの中に侵襲してる《シラユキゲシ》 本来は写ってる柵のアチラ側がこの方の居住地区なんですけれども(実際そちらではちゃんとグラウンドカバーしてる)ご本人の走りたい願望はこうしてちょいちょい露呈します(笑)。
⇩の《アマドコロ》もそう。一見キレイな縁取りに見えますけれども、春先はペイピングの目地からわんさか芽吹きます。なので一応畔板をいれてるんですが・・・うん、でも基本的には走りたいんでしょうね。

とはいえ居住地区外に芽吹いてくる春先さえ乗り切れば、あとは縁取りとしてもグラウンドカバーとしても非常に安定しています。

ちなみにこの根っこが走るタイプの宿根草というのはケッコー沢山あって、グラウンドカバーに向くもの(葉っぱが低く密に茂って地面を覆うもの)もあれば、グラウンドカバーというより空間カバー的なもの(走った先で高く立ち上がり、地面を覆うような葉の茂り方はしない。⇩参照)もある。

共通するのは「ここにじっとしてなさいね?」的な植栽が苦手なこと。「おおよそこの辺りなら好きにしてていいから~。おでかけオッケーだけどあんまり遠くまでいかないでくれると嬉しいな~」位のテキトーさで植えるのが妥当。
そう考えると既述の《シュウメイギク》もホントはこっちにいれとくべきなかもしれませんが、あの方の場合は地面を葉っぱでしっかり覆いながら基本的には本拠地にて大株に育ち、その余力で子株らが新天地を求めて~って感じなので、まぁなんとなく別枠としましたが(つまりこーゆーテキトーさ)ともかく、叶うなら庭中走りまくって一大群生地を築きあげたがってる《ヤナギラン》 ここが庭内である以上当然それは許されない野望だけど(※下部にバックヤード画像貼っつけました)通路以外ならワリと何処に生えても許してる。だって・・・・綺麗じゃん(笑)。それに花後、緑の存在感がかなり失われてしまうことも自由移動を許されてる要因かな。庭主が植えた宿根草と宿根草の隙間をナチュラルに埋めて馴染ませる係としては優秀かもしれない(但し庭主の意図ではムリ。ご本人次第)
⇩シュラブローズのサンクチュアリにシレッと侵攻中。少しぐらいなら見逃すけど、あんまりだったら要対処。特におとなしいバラだと負けると思う。
そしてバックヤード⇩ 別称、野望の自治区
このタイプは他に⇩《カンパニュラ・ラプンクロイデス》 《カクトラノオ》など宿根性カンパニュラ類は根っこが走るもの走らないもの色々ありますけど、庭の緑としては総じてアテにはなんないかな。花期に大きく花穂を立ち上げるけど、花穂を刈り取ってしまえば緑としての観賞価値は殆どなくなるって感じているので。もちろん地表近くでは少なからずも葉を残していたりするので多少はグラウンドカバー的扱いが出来ない訳でもないけれど・・・・他に《ジキタリス》《バーバスカム》なんかも根が走るタイプでこそないけど、扱いとしてはそんな感じ。もちろん群生させればまた違ってくるでしょうが。

兎も角このテの宿根草に対しては庭の緑としての役割をあまり求めず、縁取り部隊の後方ないしもっと奥の空きスペースで「ここでなら咲くなりなんなりお好きにどうぞ」ってくらいにしとくと気がラクです。
たとえば⇩の《ホタルブクロ》なんか株元がどこなんかわかりゃしない。縁取り&足元隠しを兼任するへメロに寄りかかって御機嫌なご様子ですけども、自分で立つ気はないらしい。

やれやれこっちにはヤナギランまでいらっしゃる・・・

とまぁこんな感じが、うちのグラウンドカバープランツ事情。こうしてみると縁取りや足元隠しに植えられてる宿根草同様、
・長期に渡って一定のボリュームある緑をしっかり維持する
・雨が降ろうが花が咲こうが、そうそう容易く倒れ伏さない
この2点を適えた宿根草ほど庭主の信頼を得ているのがお分かりになるかと思います。

 

さてここで全く別の考え方を。
『特に地面だけをカバーするって訳じゃないけど、地面も含めて空間的にいろいろカバーする』っていう宿根草もあるんですよね。
どういうことかというと、例えば⇩には上記で紹介したタイプのグラウンドカバーは殆ど写ってませんよね(いや実際は写ってるんだけど)でも地面は見えてない。実は赤い芍薬の手前あたりに通路が思いっきり横切ってるんだけどそれすらもココからでは見えてない。

つまりグラウンドカバーに向く宿根草だけが地面を隠す訳じゃなく、視線を遮るだけでもグラウンドカバー効果は得られるってこと。
もっとわかりやすくいうと、前頁の使い回し図だけど⇩
実際に植えていなくても、←→部分の地面はこれで覆い隠されたことになる。
ということは、草丈が或る程度あればワリとどんな宿根草でもこのカバー方法は使える、ってことになるんだけど・・・・でもこの方法が最も威力を発揮するのは、やっぱり全体のサイズ感の大きい宿根草(草丈×株幅)でしょうね。例えば・・・

ベルガモット》

花茎が数本立ち上がった程度の小株では倒伏しがちですが、適宜なスペースでもって結構な大株に育てると真価を発揮します。しかも草丈がある上に、葉が上から下まで密に茂った状態であるため、地面だろうが背景だろうががっつり隠します。
花期はユリ期の頃。ですが花後切り戻せば速やかにもっさりした姿に戻り、秋までしっかり楽しめます。
日陰や狭い場所を嫌い、生育が悪いとうどん粉にも罹りやすくなります。ので、日当たりのいい大きな空間を埋めるのにおススメ。

《夏咲フロックス》

基本的にはベルガモットに準じますが、夏咲フロックス(バニュキラータ種)の場合は、花茎が2.3本しか立たないくらいの小株であっても結構しっかり立ってます。ので非常に助かる。なにより灼熱の庭で気炎吐くがごときの咲きっぷりヨ。
花色だけでなく、黒軸黒葉風とか斑入り種とかもあるので選択肢にどうぞ。

すべてではないですが品種によっては切り戻し後また咲いてくれます。⇩は中秋

《オニシモツケ》

日陰上等! 大きな葉で立性の株姿。勿論しっかり立ちます。花期はバラ期の終わり頃。

⇧は分かりやすいから載せたけどかつての景色。当初は《キョウカノコ》の色違いみたいに捉えてたので、建物の立ち上がりと壁際ツルバラの足元隠しとして植えてましたが、足元どころかツルバラ本体まで隠してしまうことに気づき、やむなく移植。今は庭各所にていろいろ使ってます。⇩もそうねついでに斑入り種⇩ フワフワは緑葉種に比べて控えめですが、この葉っぱは最強w

⇧右隣の銅葉は《ペルシカリア レッドドラゴン》これも空間カバーが得意な大型宿根草。かなり横張な株姿となりますが、秋まで崩れ倒れることはありません。もし同じような銅葉で直立性がいいのなら《ユーパトリウムチョコラータ》という選択肢があります。あやつも絶対倒れないマン。

これらでもカバーしきれない大きな空間、もしくはシーズン通してもっともっと手堅いカバー力を必要とするなら・・・・それは宿根草ではなくシュラブ(灌木)の守備範囲かも。近視的になるとついつい見落とす根本的な回答のひとつ。

《宿根アスター》《クジャクソウ》

花数の減る秋風景には欠かせない花だし、夏の終わりまでは空間カバーとして有用。特にクジャクソウは葉っぱがフェザー状に繊細で非常に美しい・・・・んですけれども、

けれども肝心の花期に倒れ伏すのよ。巷では『倒伏しないよう夏期に切り戻しするとよい』とも言われてるけど、台切りしたってどうせ立たんもんは立たんじゃん!ってのがうちでの結論。しかも切り戻すと本来の花期とはズレるしね。なので緑としてアテにしきれるかどうかは微妙・・・・・なんだけれども、いざうちの庭で植え付けるとなれば、空間カバー要員と捉えるのしかなさそうだなぁ、とかゴニョゴニョ。

あぁでも地上部のサイズ感に比べて、根っこがすごくコンパクトなのよ。そこは特長としていいと思う(だから倒伏しやすいとも言えるんだが) だからうちではよくユリの足元に植えてます。高性種のユリの球根はかなり深いとこに埋めてて、よって地表近くの浅いトコには根がないという、かなりジャストフィットな組み合わせになるので。ユリのほうも足元に直射日光が当たらなくて塩梅良かろうし、花後に棒立ちしてる花茎をコヤツらの支柱係として再雇用出来るし双方WinWinな関係。

・・・・・・・・って、うん。そう・・・・そうなのよ。。。
植物には組み合わせで活かせる特長ってものもある。どんなに有用なガーデンプランツであっても、マルチでパーフェクト!これさえあれば・・・ってものではありません。うちで私に精鋭とか主戦力と認定され八面六臂に大活躍している宿根草群だって、庭の環境や庭主の視点によっては欠点アリアリなプランツかもしれませんし。
だからこそ植物同士の組み合わせに関することってすごくすご~~~く奥が深くて、しかも庭づくりそのもののことでもあると思う。
ので、次頁ではこの組み合わせについてお話ししていこうかと思います。

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