日本のアジサイ。

【ティストウの庭】でバラ期後半に咲き出すのはヤマアジサイ。大きなテマリ状になって咲く一般的なアジサイ(西洋アジサイ)はその後です。ヤマアジサイっていうのはもともと日本の野生種で、西洋アジサイに比べると全体的に華奢な枝ぶり。葉も花容も繊細で、楚々とした佇まいです。ですが最も大きな違いはその儚げな容姿にまったく似合わず強健で寒さに強いこと。耐寒性マイナス30℃希望の当地であっても安心して庭植え出来ます。(西洋アジサイはマイナス10~15℃位だそうで)品種名は忘却の彼方へ飛び去ってしまったものも多いのですが、只今ケッコー咲いてますので折角ですから本格的なユリ期が始まる前にご紹介しときますね~。

DSCF2311多分、こういうのが基本の【ヤマアジサイ】 額咲きで、葉っぱは薄くて小さめ(西洋アジサイのような光沢はありません) ピンクのツンとした草花は遅れて咲いた【ヤナギラン】 右上端に写ってる【ヤマブキ】の葉と馴染んで、日本画風に涼やかな雰囲気です。

DSCF2233背景の赤バラはHRg【F J グルーテンドルスト】

DSCF3125右端の草花は【イブキトラノオ】

DSCF2743水色の草花は【カンパニュラ “ラクティフローラ”】 ヤマアジサイはこういう何気ない草花とも相性がいいです。和モノは勿論ですが洋モノでも全然OK。花期が同じものでいうならガウラとかアキレアとか・・・宿根性のカスミソウなんかも一緒に植えたら素敵なんじゃないかな。

DSCF2489↑は白花のヤマアジサイ・・・の筈ですが白花の【甘茶】だと言われれば確かに細葉だし・・・しかも花期を同じくする【ダルマノリウツギ】にも、すごくよく似ているんです。ただ、【ヤマアジサイ】にしろ【甘茶】にしろ、日本アジサイは【ダルマノリウツギ】に比べるとずっと線が細く、全体としてレースのような繊細さが印象に残ります。それから白い装飾花の中心にある粒々(両性花)が、ダルマウツギの場合もっと大粒でクッキリハッキリしています。
要するに・・・ガリカやブルボンなど、しなやかすぎる枝ぶりのオールドローズに添えた支柱をそっと隠したいならこっち、ラージフラワークライミングや大型シュラブローズの逞しすぎる足元をガッツリ隠したいならあっち、そういう違いで認識しています(笑)。
DSCF2222【ダルマノリウツギ】

 

ああ、それで、白花の【ヤマアジサイ】といえば。 咲き始めは↑とまったく同じ純白花でも、
DSCF2504 装飾花が開いてから1週間位たつと・・・DSCF2603

そして、更にその一週間後↓DSCF3124眼が醒める程の真紅に染まる【ヤマアジサイ “クレナイ”】 毎年のことながら感動的すぎます。

 

DSCF2931名称不明ですが、これも時の経過と共に花色を美しく変化していくお気に入りのヤマアジサイ。↓は、↑の一週間後。DSCF3078

 

 

DSCF3276これも色の移ろいが綺麗な品種。右側が咲き始め。画像検索で確認すると【清澄沢】のような気がするんですけど清澄沢は咲き進むと白くなるという噂(?)が・・・。うちのは咲き進むにつれて縁取りの赤紫が内側に染み込むように色を広げ、左側のようになります。それでこれから更に青紫が濃くなっていくのですが・・・・それで合ってます??? まあ兎も角、庭歩きで通りかかるたび、覗き込むのが楽しみなアジサイであることは確かですww

DSCF3072これは花色ではなく、花が咲いた後くらいから新梢の頭頂部が黄金葉に変わる【ヤマアジサイ “黄冠”】 巷では、“ゴールデンティアラ”という名称でも流通してるようですね。この黄金葉はいわゆる『後冴え』タイプなので、春の芽吹き時の葉色は、普通のヤマアジサイのそれと同じです。

それから画面両端に咲いてる紫色の草花は【カンパニュラ  “ラプンクロイデス”】
地下茎で繁殖するので・・・手ごわいです(苦笑)。小さな花壇やコーナーには向きません。『ミントと一緒』と言えば解る人には解るかと。ただ、画像のように花穂があがってる時の草丈は80cmほどにもなりますが花後刈り取ってしまえばとりあえずオトナしくなります。なのでミントのように年がら年中ヨソ様の生育を阻害する、という訳ではないのですが・・・とはいえ、強健すぎてちょっとした問題児であることは確か。ちなみに前出の【カンパニュラ “ラクティフローラ”】なら、そんなことありません。

 

DSCF3085【ヤマアジサイ “富士の滝”】 で、左端の黒葉は【アメリカテマリシモツケ “サマーワイン”】赤茶色の花房のようにみえる部分は花後のタネ。このままドライフラワーとしても楽しめます。

DSCF3093

 

DSCF2139【ヤマアジサイ “剣の舞”】 茎だけでなく、葉も先端から半分程は染めぼかしたように黒みを帯びていて、渋いというかスタイリッシュというか。株自体はまだまだ小さいのですが、ものすごく好みな品種。力強い新枝も立ち上がってきているので来年以降楽しみにしています♪DSCF3081ちなみに背後の薄紫は【ギボウシ(ホスタ)】の花。御多分に漏れず私も以前は『やれホスタだ!』『やれヒューケラだ!』と葉モノに熱を上げた歴史が(笑)。でも私の場合、きっと性根がコレクターではないんでしょうね、ある程度で「…まあ、あとは似たようなもんか…」と。

DSCF2614
名称不明。ですが・・・画像ではどうしても伝わりきらない事を言い添えますと。このコはとにかく物凄ぉ~く、ちっちゃいのです! 総体的に繊細なヤマアジサイの中にあっても、ひとつひとつの装飾花が特に小さくて、更には小さいくせにグラデまで入ってて超メンコい! ・・・ただ、超メンコいんだけど何しろちっちゃい上に地味なので、多分、私以外の誰の眼にも止まらない・・・(苦笑)。なんとかこのコの引き立つロケーションを用意して、このコのメンコさを誰かと分かち合いたぁーーーい! ・・・そんなコトをかなり真剣に思い煩っている今日この頃(笑)。

 

DSCF3163多分【美方八重】 白いのは【アメリカアジサイ “アナベル”】

DSCF2421名称不詳。
・・・って、ところで、なんですが。
なんで好きなワリにはヤマアジサイに関してこんなに名称不明になってしまうのか?というと。
購入する時、ヤマアジサイは大抵9cmポットの小苗だから、っていうのが大きいんです。庭植えでそこそこの大きさになるまで少なくとも数年はかかる訳で、そのうちラベルも記憶も忘却の彼方に飛んでいっちゃうという・・・。近場に植物園とかあればいいんですけどね~。いつかマニアな方が庭にいらして、各品種の名称をビシバシ言って下さったら、全力でひれ伏しつつメモらせて頂きますっ☆

 

さてさてそうこうしてるうちに、ハタと気づけば西洋アジサイも色づき始めてました。今年の【ティストウの庭】は西洋アジサイの当たり年~♪ 引き続きそちらのご紹介も!
・・・・って思いながらカメラ持って下ばっかり見て庭の中うろついてたんですけれども。
ふとナンの気ナシに見上げたら、

DSCF3173・・・おぉ? あ、貴女・・・どなたでしたっけ? ジューンベリーを駆けあがって上空でモシャモシャしてたクレマはどうやら【ジャックマニー】だけではなかったらしい。。。ヤマアジサイのみならず、クレマチスも庭植えで存在感を発揮するまでには2,3年かかりますから。その間に、植えた庭主もその存在をすっかり忘れてるっていうのが常なんですよね。

という訳で西洋アジサイのご紹介は次回にてww

 

天野 ちと
あとりえティストウ管理人