バロン ジロー ドゥ ラン/ユーゲンフルスト

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バロン ジロー ドゥ ラン Baron Girod de l’Ain

作出:1897年/フランス
樹形:直立性シュラブ(だいたい高さ2M位に収めてます。かなりまばらですが)
花期:中咲・返り咲き
花径:中輪
交配:ユーゲンフルスト(後述)の枝変わり。ハイブリッドパーペチュアル

 

・・・・好きなんだよなぁ~、こういうクセの強い樹姿の御方(笑)。
バロン ジロー ドゥ ラン Baron Girod de l'Ain
特にこのバロン~は、気位が大変高うございまして。いえ、決して虚弱体質とか育てにくいとかではなく、花後多少うどん粉病に罹り易いクセはあるにしろ、基本的には丈夫な品種です。ただ・・・・・彼に庭主の都合を宛がってガーデン内でお行儀よく咲かせようとすると、途端に気難しい男爵さまが顔を出す、という訳で・・・・バロン ジロー ドゥ ラン Baron Girod de l'Ain
何が難しいか?って、とにかく『自然樹形が作れないほど無骨な枝振り』これです。
基本的には半直立性シュラブ。生育期にはベーサルも含めて沢山のシュートがグングン伸びて、秋には地上3Mぐらいの長さの直線的な枝が数本以上経ってる状態。
けれどその枝は固くて(大小無数の棘付き)無理に誘引しようとするとボキッと折れます。
だからといってそのままにしておいても、決してアーチングはしないので美しくない。
バロン ジロー ドゥ ラン Baron Girod de l'Ain
要するに⇧ですよ。右端にまっすぐな枝が飛び出してるでしょう? これです。
だったら得意の切り詰めで乗り切れって話なんですけど、この方の場合、ご覧の通り花枝が短いので、あんまり切り詰めちゃうと今度は花期のスケール感が無くなる気がして、どうしても思い切れない。もちろん『切り詰めたほうが花房は大きくなる=花期が長くなる』ってうちの理屈はこの方にも当てはまっていて、若干早咲気味なこのバラが中咲最盛期の頃まで楽しめてるのはそれのおかげなんだけれども、この方の場合ブラインド癖もあるが為、ホントに切り詰めても大丈夫なもんかどうか、イマイチ自信が持てないときたもんだ(苦笑)。
とりあえず無骨に伸びた枝をツル扱いに横倒しすれば、丁度画像中央から左側にかけてのように見事に並んだ花列を作れることは事実なんだけど、前述した通りやり過ぎると・・・ボキッ。それで手加減してると・・・・もれなく⇧の振り出しに戻る(;^_^A
ホント悩ましい限りです。
なのでとりあえず。毎冬、御本人とにらめっこして、長く残す枝と切り詰める枝をその場その場で考えてる。あんばいよくいった春は庭主御満悦だし、失敗したなと思ったら・・・ドンマイ(-_-;)まぁ一般には、多分トレリスや壁面に誘引して平面的に仕上げるのが最も無難な仕立て方だと思う。でもうちの庭のこのポジションでは、どの角度から見ても美しくあって欲しいので、立体的な仕立てにこだわってるだけで・・・・って、そしたらネット上でこれをオベリスクに巻いて上手に仕立ててらっしゃる方を見かけて「…マジか」って、ちょっと凹んだ(苦笑)。この固い枝とどうやって折り合いつけてんだろ??バロン ジロー ドゥ ラン Baron Girod de l'Ain

バロン ジロー ドゥ ラン Baron Girod de l'Ain

でも。ようやくうちらしい仕立てのコツを掴んだかもしんない・・・・・そしたら劇的に良くなった。。。咲きっぷりも申し分ナシ。どう仕立てたかって? それはね・・・・
ご本人任せ(笑)! 今までとどう違うか?ってなると説明するのちょっと難しいんですけど、とにかくご本人の思し召しに極力逆らわないで黙って必要最低限のサポートに徹する・・・・・・でもこれはとても簡単なようでいて、本当は一番難しいことでもあるんです。自然樹形に注視しながらも、やっぱり人って知らず知らずのうちに『バラを美しく咲かせよう』って考えてしまいますからね。だけど『咲かせる』って・・・・バラからしたら「あなた何様!?」ってヤツですよ(笑)。


あー・・・ほんと御機嫌・・・・そっかー・・・・そういうことか・・・・


あ、この傘? それはクレマ用。毎年モッシャモッシャで収拾付かなくなってたからさw
こういうコト。解ります? 使わなくなった子供用の傘の布部分を取っ払ってDIYしたんだけど、思った以上に塩梅よかった♪ で、⇩はこのエリアの全景。
・・・あり? よく見えんな・・・・って、そだ!黒だから見えないんだ!白く塗っちゃえ!

ほらよく見えた♪
ま、傘があっても相変わらずモッシャモッシャしてますから比較的・・・ではありますけれども(笑)。

 

っと、樹の話ばっかしちゃったんで、ここで花の話。糸ピコが特長のバロン~さま。この深ぁ~くこっくりとした真紅も大変魅力的なんですが、この赤、開花直前の天候に影響されてるみたいですね。いつだったか5月中旬からバカみたいに暑い日が続いた年は、吃驚するくらい明るい赤で咲いちゃった。庭にいらっしゃるロザリアンの方々にも確認したけど、やっぱりそうだった。ということは・・・・・・・え?もしかして暖地のロザリアンの方々は、この濃厚な薔薇色を御存じない!? ・・・なぁ~んてねっww いっつもいっつも寒冷地で泣きを見てるからたまには優越感を味わいたいじゃん! 失礼致しました♪

バロン ジロー ドゥ ラン Baron Girod de l'Ain

とか言っててさ。⇩は色が浅いですよね。この時は開花前のひと月がかなりの天候不順でお日さまが出なかった。暑くても寒くても本領じゃない。つくづく一筋縄じゃいかない御方。この時は辛うじて花付はよかった。暖冬明けだったからだと思う。

バロン ジロー ドゥ ラン Baron Girod de l'Ain

バロン ジロー ドゥ ラン Baron Girod de l'Ainそしてこのバラは美しくブルーイングするのも特筆。香りは濃厚でむせるような、まさに真紅のバラらしいパワフルなダマスク香。美しさだけでなく、格調と威厳を魅せるバラです。バロン ジロー ドゥ ラン Baron Girod de l'Ain

 

【秋バラ】


・・・個人的にはこのツーショットちょっと笑える。。。庭きっての自由人(?)な方と威容厳たる男爵様。え?なんでこの2人が意気投合してんの?ってつい思っちゃうw

ちなみに⇧はバロン様のヒップ。結構大きくて、しかもこの年は枝という枝に鈴なり状態。
というのはこの年はコロナ禍のせいで、フロントガーデンを閉めてた為、花殻摘みがかなり相当テキトーofテキトーだったんですよね・・・・・・まぁ、庭主だって人間だもの(苦笑)。

 

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ユーゲンフルスト Eugène Fürst

作出:1875年/オーストリア
交配:Baron de Bonstetten × 実生
備考:花弁端の切れ込みと白ラインがないだけでバロンと性質は同じ

ユーゲンフルスト Eugène Fürst切れ込みがないせいか、単なる気のせいか、バロン~より一回りくらい花径が大きいような気がします。あと、うちのだけかもしれませんが、樹高も出なくて1Mくらいのシュラブで収まってます。

ユーゲンフルスト Eugène Fürst

ユーゲンフルスト Eugène Fürstもともとバロン~としてお迎えしたはずなんですけど、サッパリ糸ピコが出なかったので。おそらく元に戻っちゃったんでしょう。ちなみにこのコは既に10年生以上ですが、今までただの一度も糸ピコを引いたことはありませんし、逆にバロン~は時々怪しい花を咲かせながらも、結局いつも律儀に糸ピコ引いてます。

ユーゲンフルスト Eugène Fürst