コーネリア

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コーネリア Cornelia

作出:1925年/イギリス
樹形:若干大型・半横張性シュラブ
花期:中咲・繰り返し
花径:小輪

 

古花ですが花は大変可愛らしく、棘も比較的少なく、さらには誘引も出来るタイプなので今でも人気ですよね。ナチュラルなローズガーデンには大抵あるってくらいの。コーネリア Cornelia

コーネリア Cornelia

コーネリア Cornelia
植え付けから数年は半横張性のベーサルシュートがよく出るので生育期はそれが多少邪魔っけだったりしますが、いずれこのコの主幹となる若枝ですので大事にしてやって下さい。成木になるとベーサルシュートは出難くなり、株元はスッキリします。
コーネリア Cornelia
⇧奥右端ピンクはサラヴァンフリート。手前右のオレンジっぽいのはアウグスタルイーゼコーネリア Cornelia⇩の奥はアンジェラコーネリア Cornelia


・・・綺麗ですよね? 綺麗なんです実際。ただしこの方にはガーデンローズとして、非っ常ぉ~っ!に面倒臭い欠点が、たったひとつだけございまして。それはですね・・・

まず画像を見てお分かりになる通り、この品種の大きな特徴はこうして小輪の花が房咲になることなんですけれども、房に咲くということは、当然一房の中で先に咲くものと後に咲くものが混在するということ。その時間差によって樹全体でみる時の花期が長くなる訳ですが、この品種の場合、先に咲き終わった花が茶色く枯れても尚、それが房の枝先にしっかりしがみついてるんです。決して自分では散らない。その上それが物凄く目立つ。せっかく他はまだキレイに咲いていても(或いはこれから咲く蕾がどんなに残っていても)ソレがある限り全体が『終わったナ…』という印象しか残さなくなる。

なのでこの品種を植えて夢みるような景観を長く楽しみたいならば。
咲き始めから数日を過ぎたあたりから、先に咲き終わった分の花殻を毎朝毎朝ひとつひとつチマチマチマチマ手で摘むことが義務化されます。マジで大袈裟でも冗談でもなく。サボると確実に、誰が見たって見苦しいレベルになりますから。よって、もしそれが出来ないというのなら最初っから別の品種を選ぶべき。私だって初めっからその性質を知ってたら、少なくともフロントガーデンの目立つ場所には植えなかったと思ってますし。
普通(あくまで当庭での普通ですが)こういう房咲きで大量に咲くタイプのバラは、ピークをすぎた辺りで一旦ホウキで叩けばそれなりにリセット出来るんですが(そうすると枯れた分の花弁が散って見た目結構『まだイケる!』感じになる)この品種に限ってはそういう『とりあえず』的な手法がまったく利かない。手で摘むしかない。房の殆どが咲き終われば房ごと切っちゃえばいいけど、それまでは只々ひたすらチマチマチマチマチマチマチマチマチマチマ。。。

いえ別にネ、そんなに神経質にならなくても、って思われるかもしれませんが、うちは兎に角お客様に花殻を見せたくないんですよね。だって折角いらっしゃったお客様にはどっぷりファンタジーに浸って欲しいという思惑が・・・(笑)。(なので風情として愛でられる範囲でなら散り落ちた花弁等をワザとそのままにしてることはありますww)
それにバラ御本人様にしたって、或いはその品種を世に出したどなたかの胸中を察してみても、見苦しい姿を人目に晒すのは相当不本意でしょうヨ。本来美麗なバラであるというプライドがあれば尚の事。女性なら誰だってよれよれにメイク崩れした顔を他人様に晒したくないって思うじゃないですか。それと一緒だと思うので。
まぁ、たまに気が付かないでシャッター切って、後でそれに気付いちゃって、その画像の中に手ぇ突っ込んで花殻摘みしたい衝動を必死に堪えてることは多々ありますが・・・(笑)。

・・・あ、でも、『花殻がしがみつく』っていう欠点は、考えようによっては長所でもあるのかも。住宅地の道路沿いに誘引した場合でも花弁が路上に散らからないので。(いや、そりゃいくらかは散りますよ?でも桜の花びら程度も許されないような環境下のことは私にはちょっと・・・)

まぁともかくそういう事情でもって、当庭においてこのコは手の届く高さで咲かせることにしています。『バラのためになら!お客様のためになら!毎朝脚立かける位なんでもない!』って豪語出来るならモチロンのびのびと大きく仕立てたいところですが、如何せんムリだわーーー・・・このバラの最盛期はアトリエの繁忙期でもあるんだわーーーー・・・とはいえ、スイートでロマンチックなローズガーデンを目指すなら欠かせない品種であることも確かな訳で。こうして画像見ててもなんか色々と、いろんな意味の溜息が出てしまうバラなのでした。

 

【秋バラ】

但し秋は花殻やら黒星まで絵になるんで問題ござりませぬww
そして更に秋が深まり、

冬の気配がしてくる頃には、
甚三紅。ゆぅ~らりゆぅ~らり、冷たい風に 靡くどこか物言いたげな口元。初夏の一番花とはまったくベツモノな咲き姿。私にとって秋バラの美しさっていうのは、こういうこと。花色が濃いだとか花型が整ってるとかいうだけの話じゃなく、ましてや開花調整して初夏に準ずる花数を競うものでもない。なんていうのかな・・・・和の抒情性、とでもいうような。ローズガーデンにおいて最も日本人らしい感性が発揮されるべきなのは秋なのかもしれないと思う今日この頃。

 

・・・・っと、それから余談(?)になりますが。

このコーネリア、⇧の秋バラ色じゃありません? でも間違いなくハイシーズンの一番花。
って聞いてハッとした貴女は、おそらくソートーなガーデンマニアですね(笑)?
そう、雑誌や書籍等でよく目にする英国のローズガーデンに咲くコーネリアがまさにこの色。
種明かしとしては、開花時(もっと正確にはおそらく開花前一週間程度)の気温。
当地の6月は平均気温20℃くらい(思いっきりザックリで。夜間は10℃以下になることも)なんですけれども、コーネリアがうちでこの色に咲いた時というのは、5月下旬から開花2,3日前にかけてお日さまこそ出ていたもののケッコー肌寒い日が続いておりました。で、ちょっと気になって調べてみたところ、ロンドンの6月(バラ開花期)の平均気温は16℃。嗚呼成程ねーーー、って感じですよね。・・・ところが、ですよ。この話にはまだ続きがありまして。このコーネリア、今シーズンはこのままロンドン色で咲き進むかと思いきや、たった一日ではありますが間違えたように突如の30℃超えを記録した翌日。まぁなんということでしょう!? ⇩の通り、例年通りの色に戻っていたのでした。。。

低温でこそより濃く発色するバラもあれば、日照不足によって発色しないバラもある。つくづくバラの花色って一筋縄じゃいかないなぁと体感させて貰いました。