【大きな庭をつくる】

うちの庭画像や栽培所感を見てて、
「こんなん広い庭だからやれる(言える)んだよねー」とか「沢山植えられていいなー」とか思われてる方、きっといらっしゃいますよね。
え、えぇ~っと・・・・まぁ、そこは否定しませんが。
でもこういう庭には当然、こういう庭なりのアレヤコレヤがありまして。

それに『そもそも、』ですヨ。都会や住宅地に住んでいらっしゃる方にはピンと来ないかもしれませんが、田舎ではうち程度の広さの個人庭なんて結構ザラにあるんです。よく『日本の住宅事情では外国のような広い庭は…』みたいなのを目にしますが・・・・・
うん。まぁ勿論、それもそれで理解出来ますけれども。
けれども私が知る限り、例えば古くからある農家さん(もしくは親世代で農家だった)の自宅は大抵広々とした敷地の中にありますし、田畑とか農園とか、或いはかつてのうちと同じような休耕地を抱えていたりとかはごくごくフツーに・・・・・・たまに裏山的なの(…?)所有してる方だっていらっしゃったりして。ましてや平野部に拓けた地方や酪農地帯にお住まいの方にとっては、うちの庭なんて間違いなく『かわいらしい』サイズだろうと認識しています。

そして実際そういうサイズの空スペースを持ってる方が、近隣にある当庭の存在を知り、何かの参考にする為うちへいらっしゃる、というケースがよくあります。中でも一番多いのは・・・・奥さまが或る日突然「バラに恋してしまったの!」というやむにやまれぬパターン(笑)。まぁその他にも、御夫婦の定年後の趣味として…とか、新築or改築を期に…とか、代替りして…とかいろいろ。
で、そういう方々が必ずと言っていいほどお尋ねになるのが、

「どこから手をつけたの?」or「どうすればこうなるの?」

・・・解ります。いざガーデニングを始めようとした時、「大きな庭のつくり方」に関する情報は途方に暮れるほど少ないのが実状で。ガーデニングブームが下火になったのも実はこの辺に原因があったんじゃないかなとさえ思います。折角今まさに、湯水の如く庭に投資しよう!って意気込んでるスターター層を置き去りにしちゃったんですから。
それでも・・・・というか、だからこそ。
だからこそこれから庭づくりを始められる方にとっては、確かにうちの庭には何かしらの手掛かりになることが一つや二つ埋まってるんじゃないかとか思いまして・・・・

そんな訳で、ティストウの庭のつくりかたをレポートしてみることにしました。
もちろん実際に私が行った時系列では紆余曲折過ぎて非っ常ぉ~~~~~ッ!に遠回りな行程となりますので(大体・・・「え?パンジーって来年生えてこないの?」ってド素人が始めた庭づくりですからね?)なので、もし私がもう一度この庭をつくるなら・・・的な手順に入れ替えて。
但しこれは当然のごとく極めて自己流のやり方。なので書いてる内容そのものより、その裏側に透けて視えてる素人ガーデナーの失敗と迷走と敗北の日々を察して頂ければ(笑)。

あ、でも下準備(土壌改良とか耕運作業とか)が大体済んだ前提で始めますネ。それは個々それぞれ過ぎる案件なので、うちの場合をお話してもあんまり役に立たないんじゃないかと。
ただひとつだけ言えるとすれば、粘土質土壌でない限り(※)手の回る範囲から少しずつ土地整備していくのでいいと思いますよ? どのミチ庭造りには時間が掛かりますから、庭となる全域を一気にどうこうするんじゃなく、範囲を決めて、植えながら育てながら、ついでに育ててもらいながら、次に進む。とりあえずティストウの庭はそうやって景色を広げていきました。
実際の話として・・・・・ダダッ広い敷地の全体を見渡して、全部をイチから造園していくのはやっぱり専門家や業者さんでない限り難しいと思うんですヨ。一般ガーデナーが広い敷地を手作りでどうこうしようっていうのなら、植栽エリアを手頃な大きさに区切ったほうがはるかに取っ掛かりやすい。
それとパレットスペースとでも言えばいいのかな?本格的に植栽し始めた場所とは別に、例えばついつい衝動買いしちゃった(のはいいけどドコに植えるか決めらんない)ポット苗とかをとりあえず植えて育てておく場所に出来るので。そんでそこから必要に応じて庭につれていく―――。絵を描くように庭をデザインしたいならとっても便利です。特に宿根草苗は、路地栽培で咲くより2週間以上早く咲かせた状態で売られてますので(地域差があるのかもしれませんが)自分の庭での花期を見極めるのにも、あるいはその品種の特性を把握するのにも有効かと。
ちなみにうちには今でもこの余白スペースがあって、庭のバックヤードとして使われています。上記したような苗類の仮植えは勿論ですが、現実問題として、大量の花殻やら剪定枝やらの集積場所は必要ですので。

(※)粘土質土壌の場合は、はじめの段階で専門サイトとか書籍とか業者さんに御相談なさるのをおススメします。バラを含めた通常のガーデンプランツは、水はけ悪いとうまく育たないと思うので。。。

 

まず、はじめに・・・

まずは庭となる敷地を、一番眺めるだろう場所から眺めてみてください。
そして、日当たりを確認しましょう。
冬と夏とではかなりの差異がありますので、バラ中心の庭にするのなら春夏を重視して。
特に午前中の日照を充分に確保できる場所は、ゆくゆくはバラの居住地候補となりますので、とりあえず頭に叩き込んでおきましょう♪
もし万が一、敷地のすべてがバラの生育期に午前中の日照をまったく得られない環境にある場合は・・・・・・・あ゛ーーー・・・・・・・バラ栽培の専門家から適切なアドバイスを得て下さったほうが宜しいかと。私の経験談では結局いつでも『バラ栽培には絶対的にまず日光!』になっちゃうので。

1.余計なものを隠す

いくら庭が広くたって、大草原やら田圃のド真ん中に庭がポツンとあるんじゃない限り、いろいろ余計なモノが目に入るかと思います。
例えば、自分ちのガレージとか隣家の物置とか道路とか電柱とか・・・・樹木を植栽することでそれらが隠れるなら、最初の段階で目隠ししてしまいましょう。
もちろんご近所迷惑にならない配慮を優先した上でのお話ですし、借景を生かしたいとか、外から観ても素敵にしたいというのであれば、この限りではありませんが。
感覚的に言うなら、ファンデーションを塗る前のコントロールカラークリームとかコンシーラーみたいな。必要ならば最初の作業。必要なければ・・・・羨ましい(笑)。

ともかく目隠し目的としてならば、常緑の生垣とかで庭を囲ってしまうのもひとつのテだし、フェンスを設置してツルバラスペースにするのもアリ。敷地外に落葉するのを避けるなら針葉樹も選択肢のひとつ。
別に初めから成木を植えなくとも大丈夫。そのつもりでポット苗でも植えておけばいつかはちゃんと役目をこなしてくれるでしょう。更にはこれから植えるガーデンローズ達を背景から美しく引き立てる緑ともなります。
或いは・・・・植栽による目隠しではなく、いっそ壁付きのガゼボとかを設置するのも有効ですね。とにかくいろいろ考えてみて下さい♪ こういう悩み事はガーデニングの醍醐味ですので。

実例としてうちの場合は、立ち木タイプの樹木と株元からワジャワジャ生えて来る灌木タイプ(シュラブ)の樹木をいろいろ取り混ぜて植えて境界を作ってます。特にしっかり目隠ししたい位置には葉っぱが大きくてやたらワッサワッサ茂るヤツとか、生育旺盛過ぎて庭の内部に置くのが躊躇われるような大型シュラブをここぞとばかりに。

但しココで気を付けなきゃいけないことは、庭を囲んだ樹木&構造物は必ず庭内に影を落とすということ。特に目隠し役に適した枝葉とは、裏を返せば色濃い日陰を作るということです。
西側はそれでも構わない。強烈な西日を遮る役目もこなしてくれるから。(午後の日当たりは日照時間にはノーカウントで。特に幼苗にとって西日は過酷でしかないと思う)
北側も同じく。いくら植えても庭内の日照条件には影響しない。また地域によっては冬季の冷たい寒風を受け止めてくれる頼もしい存在になってくれるかも。
ところが東南側は・・・・何よりも大切な午前中の日照を確保する為の方向なので。目隠し目的であったとしても充分な熟考が必要になります。

ちなみにティストウの庭の場合はですね。
東側に広ーく田圃が広がっていまして充分過ぎるほどの日照に恵まれてる上に、大変美しい借景を・・・・・・・・ところが、ですよ。
これはうちにとって、極悪非道な仇敵の容赦ない猛攻を確定づけるものでもありまして。
庭のプロフィールでもお話したヤマセと呼ばれる冷たく吹き荒ぶ東風です。このせいでうちはハーディネスゾーンナンバーでは計り知れない極寒地仕様の庭になってる。だから日照さえ考えなければ、美しい田園風景を切り捨ててでもガッツリ生垣を仕込んで風除けにしたいトコロなんだけど・・・・・うん。こういうトコロが難しいんですよね。
とりあえずうちでは、過酷な環境で生き抜けることを絶対条件に課した品種限定の庭にして、日照と借景の恩恵に与かってる次第です。

キャサリン モーレー モリー イングリッシュローズ Kathryn Morley

そして次のステップに進む訳ですが・・・・・
以降はバラをメインにした回遊式ガーデンの場合。ですので、タイプの違うお庭の場合には何処まで当て嵌まるのか・・・・正直私にはサッパリ。私が知ってるのは『現時点でのティストウの庭に関してのみ』です。底の浅さとしてよしなにどうぞ。

2.樹と通路で庭の骨格をつくる

◆立ち木タイプの樹を植える
◆通路のラインを決める

これはどっちが先でも構わないと思います。やり易いほうで。
まず樹を配してから通路を設定してもいいし、通路優先で樹を植栽してもいい。もちろん同時進行でも。それから、もし東屋的なパーゴラとかバーベキュースペースとかを設置する予定ならそれも含めて。

もしくは
いっそ庭全体を通路として考えて、樹を中心とした植栽エリアを島みたいに点在させる
というのもひとつのテ。
実はうちの場合も、始めの頃は寧ろそんな感じだった。だってそもそもこれだけの面積を埋め尽くす程の樹木&草花を、初めっから一気に全部用意出来る訳ないですし。それで植栽植物の生長と共に植栽エリアが少しずつ少しずつそしてギリギリまで広がっていって、最終的に今の通路分だけが残された。そういう感じです。その姿が⇩のガーデンマップ。

かなり簡略化してますが通路はほぼこの通り。
さすがに樹木の記載は大幅に省いているものの、目印になりそうなものだけはイラストに加えておきました。
ついでに言うとティストウの庭の場合は、通路で仕切られた植栽エリアごとに私なりのテーマやイメージがあります。そうすることで植栽植物が選びやすくなりますので。
実例として⇧のマップ中のエリアBが⇩の景色。樹はエゴの木です。
フロントガーデン内に足を踏み出して最初に目にする景色なので歓迎の意を込めて、期待を掻き立てる華やかさは勿論のこと、どこか親しみを感じるような温かさとか気取りのなさを・・・・って、あ゛ーーー・・・あくまで私の個人的作業用イメージですが。でもなんとなくでもそーゆー雰囲気を感じて貰えれば僥倖です。
私の場合、イメージを追いかけるように植栽デザインしてるつもりなんですが、樹が個々に持つ雰囲気に引っ張られてイメージを膨らませていることが多々。なのでそういう意味でもティストウの庭の骨格はバラではなく、こういった樹のほうなんでしょうね。

また同じく実例として、エリアOとPに囲まれた円形部分の樹が⇩ 枝垂れ実海棠。

こんな風に、各エリアには1本ないし複数の立ち木(数本の幹で立つ株立ち樹木も含む)が植えられています。
そしてこの樹木の有無が、花壇と庭(いわゆるガーデンと言い換えても)との分岐点。
樹を植えることで空間には立体感が生まれますし、豊かで安定した緑がシーズン中ずっと確保されることになるので、のちに植える花々がより美しく映える筈です。

【樹について】
どんな樹を植えるのかは地域の気候と庭主の好み如何なのですが(あと、庭のスケール感に合った品種を・・・うちの庭にあるのは所謂『中木』とされる類。『高木』はないです)おススメとしては樹姿が整いやすくて葉っぱの小さめなヤツ。鬱蒼としてしまうより、茂っても明るい木漏れ日を感じられるほうが素敵かなぁ?なんて。とはいえ⇧で紹介したエゴは横広がり樹形なので狭い空間ではちょい厳しいでしょうし、枝垂れ実海棠は正直葉っぱがかなり重暗い印象。それでも庭主が「これはこれでイイ♪」って思えるならそれでOK。偏愛あっての個人庭ww

(※)ここで言う中木とは、剪定にもよりますが目安として樹高2~5Mくらいで収められる、所謂『庭木』として扱いやすい類。対して高木とは大自然の一部みたいなスケール感の木。地上10Mを遥かに超えていくもの。例えばブナとかケヤキとか白樺とか・・・・そしてそういう大木と共にある庭こそが、私にとって本物の『大きな庭』

但し前述同様、どんな樹木を植えたとしても、いずれ育って樹冠を広げ、株元に大きな木陰を齎します。
なので、通路で区切った植栽エリア内に樹木を植える場合は、エリア内ど真ん中に樹を植えるよりも西北側に寄せて植えといたほうが日当たりスペースを広く確保できるでしょう。逆に樹木を先に配してる場合でも要は同じ考え方で、その樹木の東南側にスペースを広く確保するようにして通路を設定するがおススメ。もちろん木陰側を庭主らの憩いスペースにするというなら、それはそれで素敵だと思うので良きに計らってどうぞ♪   兎も角バラのみならず殆どの草花は基本的に日当たりを好みますので、多種多彩な草花がすこやかに咲き揺れる庭景色を望むなら日当たりスペースをムダに潰さないよう心掛けたいところです。
お庭のリフォーム等で『既に或る程度出来上がった花壇に樹木を配する場合』や『既に植わっている植栽植物の間に通路を通す場合』にもこの考え方が当て嵌まるかと・・・・・・って伝わってます?!説明ドヘタですみませんっ!

とは言え勿論そうそう上手くはいかないのが庭づくりの通常運転。
なので「・・・・骨格・・・? えー・・・何か難しそー・・・」なんて頭を抱える必要は全然ありません。
私なんか設計図すら書かず、棒っきれで地面に線引いて通路決めてたくらいですから。そんでその棒っきれを足元にブスッと突き刺して「ココに木ぃ植える!」ですもん(笑)。それでもなんとかなりますって♪ 必要なコトはいずれ庭がちゃんと教えてくれますので(日陰になった場所には日陰が得意な植物を植えればいい、とか)難しく考え込まず、まずはテキトー&お気楽に。そもそも、どんなに緻密なプランを練って机上で庭をデザインしたって『現実の植物はどうせ何ひとつこっちの思惑通りには育ってくれない!』という開き直りが肝要。なので庭主の基本スタンスはあくまで成り行き任せでww

【通路について】
ゆるやかな弧を描くようにするのがワタシ流。回遊式ガーデンの場合、直線的過ぎると面白みに欠けるし、かといってチマチマ曲がりくねり過ぎるのも鬱陶しい。それから出来る限り行き止まりを作らないコトもコツ。行き止まりになってると人は結局その道を通らなくなる。人が通らなくなるとそのエリアは廃れる。これも庭が教えてくれた道理のひとつ。もしスペースの関係上どうしても行き止まりになるなら、そこにベンチやテーブル&チェアを設置するのもテ。コーヒーコーナーというエサに釣られればワリと足繁くなるって策略(笑)。

道幅の設定は、うちでは作業時の一輪車が楽に通れるのが基本。この設定は散策時にも好都合で、足元に気を配らなくていいから安心して周囲に意識を向けられます。たとえ小さな庭であっても・・・・最低限の道幅は確保したほうがよろしいかと。例えば雨上がりに花殻摘みの籠を抱えて歩くシーンを想像してみて。メンテしやすい庭じゃないと美しく保つのは難しくなりますヨ。
逆に道幅をもっと思いっきり広く設定できるのなら(最低でも1,5M以上)外国のお庭風に芝生を用いた通路も可能になるでしょうね。前述の樹木の植栽でも言いましたが、ローズガーデンにおいて安定した緑の確保はものすごーく大事な案件。私感ですが、最盛期にバラの花色しかない空間は、バラ園ではあっても庭ではない!と思ってまして・・・・なので芝生を有効に使えるなら素晴らしいと思います。樹木と違って日陰を作りませんしね(笑)。但し、幅1,5M以下の通路に芝生はNG。これの理由について説明しようとするとケッコー切々懇々と語り明かすことになっちゃうんですが(お察し!)とりあえず『狭い通路に敷いた芝生は、美しく保つのが非常に困難』っていうのが結論。仮に芝生を敷いた上でその芝生を踏まない工夫(枕木とかレンガとか)を施すとしても、それでもやっぱりそれ相応の道幅は必要になると思いますし・・・・・それにそもそも狭い面積を緑化するだけの目的なら、芝よりもっと適した植物を用いたほうが。

あぁそれとついでなんで、もし通路の舗装等を考えてるならこの時点かな。勿論もっと後からでも構いませんけど。
ちなみにうちの場合は、フロントガーデン(エリアA~Eあたり)には石タイル(部分的にはレンガも使用)を敷いてます。といっても川砂で均した下地の上に並べただけ。コンクリ等で固めてはいません。それでも石タイル自体がかなり重いので安定してます。但しそれだけに敷く時はそれなり重労働でしたけど。(腕に力が入んなくなっちゃうから一日2~3時間の作業が限度だったな・・・それで2人がかりで数日かけてヤリマシタ)とはいえ軽い(薄い)タイプのタイルだと歩いてて何処か不安定だし、霜でカンタンに浮いちゃうから一長一短。

そしてフロントガーデン以外の通路は土のまま。ただし黒土を剥き出しにしたままだと雨が降った時に滑り易いんで、毎年シーズンの始まりに河砂を撒いてます。

ホントはさぁ、枕木をランダムに敷いたり(そして目地代わりにクリーピングタイムなんかを茂らせる♪)とか、バークチップを撒いて森の雰囲気を出したりするのにすごぉ~く憧れてたんだけど・・・・ちょっとうちでは難しかったデス。

でも今となっては、土のままって案外悪くなかったというのが個人的な感想。フロントガーデンの石タイル敷の通路はそれなりに見た目イイんであれはあれとして気に入ってるんですが、歩いてると足裏への当たりが固い(それとナニゲに目地も気になる)ので・・・・
その点、砂化粧しただけの通路は、ストレスフリーっていえばいいかな?フラットなうえに程良いクッション感もあって、いくら歩き回ってもゼンゼン疲れない。いくらだって歩いていられる。当然のごとくメンテ等の作業時もラクですし、植栽植物の生長や庭主の都合によっては、後から通路ラインを変えることも容易です。唯一の難点は・・・・・・・・・ほっとくと雑草が生えること(笑)。ちなみに除草剤はムリ。どんなに気を付けても植栽植物まで殺すことになるので。
あとは案外・・・・・・・・・・・・・・・人工芝(;^ω^)
最近の人工芝って凄くよく出来ててさあ、さすがにギラギラな直射日光にあたると「…うんまぁそだね」とは思いますけど、眼を凝らしてジー―――ッと見詰めさえしなければ殆ど違和感ないんですよこれが。もちろんホンモノ志向の拘りは大切なんですけれども、オープンガーデンしてて天然芝の通路は現実的にムリじゃね・・・?・・・・・・まっ、夢と現の狭間で揺れる大人の選択、ってことでご容赦をw
ちなみに⇩は同じ通路の以前の景色。当時はおもに私だけが使ってたショートカット用のケモノミチだったので、これで良かった。
でも何年か前に庭の入り口ゲートの場所を変えたことで、お客様の導線が変わったんですよね。それで今はお客様がほぼ全員通り抜ける通路となりましたので、サパッと実用性重視に手直しした訳です。ホントはもう少し道幅出したかったんだけど・・・・・裏ワザ使って見た目よりは幅広に感じるようになってます。どんな裏ワザかは直接私にお尋ね下さい。ココで話し出すと更にまた別のテーマが展開しちゃうんで(笑)。

3.さまざまなシュラブを植える

さて、ようやくバラの気配がしてきましたね(^▽^)/
2で立ち木タイプの樹を植えたら、次は灌木(シュラブ)タイプの樹を配します。
ここでいうシュラブとは、解かり易いトコロから言うとアジサイとかツツジとか牡丹といった、比較的背の低くて樹姿がこんもりと茂る灌木のコト。うちの場合はそこにシュラブローズ(場合によっては、樹高が特に高くなる大型のブッシュローズをシュラブとして扱うこともアリ)も含まれる、って感じです。
ちなみに私が言ってる  “シュラブローズ” とは、シュラブ性(半ツル)の枝振りを持つバラということではなく、こんもりと茂る灌木(=シュラブ)として扱えるバラのこと。詳しくは【自然樹形でバラを育てる】でどうぞ。

ただし。シュラブローズとはいえバラはバラ。庭木として扱った時に抱える重大な欠点のひとつが・・・・・・咲き乱れること
つまりですね。お天気が続けばまさに歌でも歌い出しそうなほどチョーゴキゲン!に咲き誇り、雨が降ればすぐさまドワァーッと崩れ落ちる・・・・「ねえ!見て見て!私スッゴイ綺麗でしょう!?」雨「いやぁ~ん!もーヤダーッ!泣きたぁ~~~い!!!」後「あ゛ーーー疲れたぁ~。。。って、ちょっと!?何モタモタしてんのよ!サッサと花殻摘みなさいよ!私を誰だと思ってるの!?」
・・・さすが女王様。なんというか、非っ常ぉ~に・・・・・やかましい(;^_^A

そこいくとバラ以外の灌木は天候に左右され難く、庭に落ち着きを齎します。
更に言えば、
・バラや草花に比べると、或る程度の日陰くらいならいけるものが多い。
・バラと花期がズレる花木であれば、バラ期は美しい緑でバラの引き立て役に徹してくれるし、バラ期以外では主役にすらなってくれる。
ただし良くも悪くもバラほどの爆発力&カリスマ性はありません。例外は牡丹くらいかも。あれはまた別レイヤー世界の王様なので。

ともかくそんな訳で2で配した立ち木タイプの樹の東南側にはシュラブローズを中心に、株元付近や西北側にはその他の灌木を中心にして(※1)バランスよく配することをおススメします。その時、樹姿&個性の異なる様々なシュラブを、数年後のサイズ感で以って配置出来れば理想的・・・・・なんだけれども、それはあくまで理想ですよ?理想。上手くいったら御満悦で構いませんが、思いがけずどうこうなってしまったとしても、晩秋もしくは芽の動き出す早春に移植すればいいだけの話なので(※2)素人ガーデナーの特権として、深みに嵌まらず、まずは思い切って植えちゃって下さい! いくら頭を悩ましてたって樹は1㎝も育ちませんから。

 

(※1)たまに「半日陰におススメ」として紹介されているバラもありますが、特に四季咲き種の場合なら「半日陰でも咲くことは咲くケド…」くらいな意味に捉えてたほうが無難です。少なくとも樹の健康維持の視点から言えば、バラはみんな日当たりが大好きなので・・・・たとえ比較的半日陰に強いとされる品種(多分ブッシュローズよりはシュラブローズのほうが比較的……あるいは赤バラより白バラのほうが比較的……)であっても、日向に植えたものと比べてしまうと生育状況に著しい違いが現れることはどうぞお心に留めといて下さい。樹勢が落ちて生育や花付が控えめになる…という単純な事象だけではなく、例えば枝振りがまばらになって樹姿が崩れたり、病気に罹り易くなったり、香りがしなくなったり・・・代償は多岐に渡ります。
なので生育期の午前中に日照を最低4時間確保出来ない場所には、バラ以外の植物を配するつもりでいたほうが安全だし自然。そして結局は美しく仕上がる。
どうしても!と言うのならあれですけど(原種に近い一季咲品種とか日向では手に負えなくなるほど樹勢が強い品種とか一応いろいろ考えられますが)でも今までやってきて・・・・バラにムリさせて良かったことなんて、殆ど何にもなかったですヨ。。。。いえ、勿論うちにだって終日半日陰の場所で咲いてるバラはありますよ?ありますけれどもそういうコ達に対しては、『こちらの我儘を身勝手に押し付けた』という負い目を常に感じていなければならないのも事実な訳で。

(※2)ごくまれに移植を嫌う樹木があります。例えば・・・沈丁花とか。気になるようでしたら予め確認して下さい。それと輸入苗のバラは移植を嫌うことがあります。こちらでもちょっと触れていますのでご参考までに。

 

と、ココまでが庭の骨格的なもの。
なんとなくでもいいからココまでやっとけば、あとは何をどう植えたってそれなりに見栄えるし、ぶっちゃけバラがない時期のほうが私は・・・・・・ってイヤイヤイヤ(笑)。
兎も角せっかくシュラブローズを植えたんで、ついでにブッシュローズも植えておきましょうか。前述までと同様、とりあえずココでは花色とか花容によるファッションコーディネート的なコトは割愛しますネ。

4.ブッシュローズを植える

植える位置の決め方は3で植えたシュラブローズに準じます。が、
・そのブッシュローズが成木でどの程度のサイズになるのか確認しておくこと。
・先に植えた灌木類の日陰に入らないよう配慮すること。
そのうえで、周辺通路を行きつ戻りつしながら、あんばいのイイトコにどうぞ♪
また、小型(低性)のシュラブローズもこの時点で配するのが宜しいかと。

ただし重ね重ね言いますが、日照の確保が最優先&絶対条件です。
勿論その後には周辺植栽(特にバラの手前に植えることになるだろう宿根草類)が茂って、目論んでいたはずの日照時間が目減りすることもあるでしょう。それは混植ガーデンである以上はしょうがないと思う。けれどだからこそ、幼苗を植えつける時点ではせめて出来る限りに。ちなみに私は新人ちゃんを庭に配する時、植えようとしているその位置にしゃがみこんで東の空を見上げてみます。ハタからみたらきっとアホっぽい光景だろうけど(…笑)、通路に立って見下ろしてた時の感じとは、びっくりするほど光の当たり具合が違いますよ? 一度試してみては。

 

5.草花で彩る

っと・・・・・えーーー・・・・・これもまた改めてのほうがいいかな・・・・
但し当庭では、植栽エリアと通路の境界線を作る役目を担っている宿根草類があるので、それについてだけはココでお話しときます。

基本的に当方は、植えっ放しで冬越し出来るなら何でもかんでも植えてみたい主義。
だから植栽エリア内に隙間を見つけると、とりあえずなんか植えたくなるww さすがにバラの花殻摘み時の足場は残してますが、それだって地下には春咲球根が眠ってるし・・・・・

とはいえ上記した境界線をつくる縁取り部隊に任ぜられる宿根草は何でもかんでもOKって訳じゃなく、絶対にクリアしなくてはならない条件が2つあります。
・或る程度のボリュームで茂った緑をシーズン通して維持すること。
・花期に雨が降っても倒れ伏さないこと。特に花穂。
なので一年草や春咲球根類、それからガウラや宿根アマみたいなのは何かヨッポドの狙いがない限り縁取りには・・・・・いやでもやっぱ私は植えたくない(笑)。そういう方々は縁取り部隊の内側で「ココでならどーぞお好きになさいまし」です。

天候如何で庭が乱れるのは自然の摂理。だから問題として考えるべき事は、植栽植物が風雨によって乱れること自体ではなく、乱れたことによって庭主がウンザリしてしまうこと。
で、何故ウンザリしてしまうかを突き詰めていったら・・・・・・・・雨露にびしょ濡れた草花が通路を塞いでるコトに辿り着いた訳ですヨ。逆に、通路さえちゃんとしてれば乱れた庭の立て直し作業は手際よく進められる。手際よく作業が進められれば案外ラクだったと思う。そして案外ラクだと思えれば・・・・・必要以上にウンザリしないで済む、って論法です。
そしてこれは「散策してなんぼ♪ 」の回遊式ガーデン、しかもオープンガーデンしてるとなれば尚更で、お客様が庭にいざ足を踏み出そうとした時、スカートの裾がびしょ濡れになる不安こそが乱れた庭をより強く印象づけてしまう。逆に植栽エリアのバラ達がかなり残念なことになってても、通路にだけは何の影響も及ぼしてないのなら・・・・「雨の庭っていうのも、これはこれで風情あるよねー」になる(笑)。バラ期後半が梅雨に丸被りする当地では、極めて重大な案件です。
要するに1~3での骨格づくり同様、何時いかなる時でも最低限の美観を保てる安定感こそ大事ってことですね。プランツサポート等に頼るのは出来るだけ後回し。まずは素でいける選択をするのが当庭の流儀。

・・・・って解かった風に言ってるけど実際は、バラ様がいろいろ手ぇかかる御方だからシーズン中はその他モロモロの草花やら何やらまでメンド―見切れるかーーーーッ!ってゆー・・・諸々お察し下され(笑)。
もちろん、風雨によって植栽植物が倒れ込んでも大丈夫な余白空間(通路幅とか芝生とか)がある場合は、上記の条件は必要ないのかもしれません。

あ、それとですね。
縁取り縁取り言ってますけど、植栽エリアをグルッと一周草花で囲む、って話ではないです。それやると途端に花壇的な見栄えになっちゃうので。実際、3で植えたシュラブ類や4で植えたブッシュローズ(或いは小型シュラブローズ)が既に植栽エリアと通路との境界線を作る事も多いので、それ以外の境界線ってことになるでしょう。更に言えば、通路の曲線に沿って同一植物をある程度列植させることもあるし、一株ずつ品種を変えて丹念に植栽することもある。庭の雰囲気やスケール感にもよりますので、ご自分の庭に合わせて臨機応変にどうぞ。

まぁ元々この手法は、フランスだったかのフォーマルなローズガーデンでは植栽エリアを草柘植でグルッと囲んで通路である芝生との境界にする…っていうのを何かで読みかじって、それを自己流で応用した訳なんですけれども。残念ながらうちの場合はフォーマル感の欠片もない庭なので、草柘植オンリーの縁取りでは表情というか雰囲気があまりにビシ!とキマりすぎ・・・・・だから希望としては草柘植よりももうすこし柔らかな草姿で、草丈が常時20センチ以上あることも密かな条件。そうすれば縁取りの役割と共に、エリア内に植えたブッシュローズの心もとない足元をふんわりナチュラルに目隠しする効果も期待できるから。更に言い出すなら他にもこまごま要求したい条件はあるコトはあったりするんですけれど・・・・でもそこまでいくとあとは条件というより適材適所なお話だと思うんで。

・・・・それにサ。これは縁取り云々に限らずのことにもなるんですが。
植栽植物各々の御意向というか生育状況を自分の眼でじっくり見守っていると、ワリと庭のほうから「ココにはアレ植えときなさい」的な指示が貰えたりしますので(マジでサ!)その際は喜び勇んでその指示に従いましょう。現状でその庭が最も美しくなる正解がそれ。

そして最後にもうひとつ。
くれぐれも手元の作業だけに没頭しすぎないようにしましょう。手芸教室のほうでもよく言ってるんですが、植栽でも、剪定でも、誘引でも同様。ひと仕事ごとに、部分ではなく全体を少し冷めた眼で眺めるように心掛けるコト。そうすると案外ちゃんと視えてきますヨ。


とまぁ、とりあえずこんな感じがティストウの庭のつくりかたの大筋です。
なんかお役に立ちそうなネタありました?
漠然とでも「あ、なんかやれそうな気がしてきた・・・」とか思って下さった方がいらっしゃいましたら凄く嬉しいです。
もちろん実際には上記以外にも頭を悩ませるアレヤコレヤが山の如くにありますし、あえてにセオリーを無視することなんて日常茶飯事。
でもまぁ、これ以上こまごま語っててもキリがないんで、とりあえず以降はそんな風にして作られた庭をご散策でもしながら、ご自分らしい庭のイメージを思う存分膨らませてみて下さいませね♪ イメージがなにより大事です。モノづくりの基本として。

※バラのハイシーズンの画像を中心にチョイスしました。ホントはバラの無い季節のほうがティストウの庭らしさが視えると思うんですが・・・・・・そうは言っても私自身、こういう『バラの花咲く庭景色』への憧れが庭づくりの情熱になったと思うので。


⇧の縁取り部隊が⇩ 
まぁ・・・『倒れ伏さないこと』っても、MAXこの程度までなら許す(笑)。ともかく咲き終わって花穂を引っこ抜いても、何ら変わらぬ葉姿を確約してもらえるなら。

桜霞 さくらがすみ ツル


庭のデッキは3つとも父の制作。大工さんじゃありません。元はデスクワークの人。それでも庭づくりを始めた以上は何でも屋にならなきゃやってらんないのです(笑)。

そしてここからがアトリエのフロントガーデンティールームの中と外。


フロントガーデンも回遊式ですが、解放感を味方につけたあっちの庭とは雰囲気違います。こっちはもっと密やかで凝縮された感じ・・・・・ってもちろんバラの最盛期は密やかドコロじゃないですけれど(笑)。でもまぁこっちはアトリエご利用者(ティールーム含む)限定エリアなので、プライベートガーデン的なスペシャル感はあります。


⇧のデッキに上って振り向き眺め下ろしたのが⇩
で、さらにデッキ上で90°向きを変えると⇩

最後に、アトリエ作業場からの眺め。

いかがでした?
もしバラの咲くお庭づくりを考えていらっしゃって、うちの庭にいらっしゃる機会がございましたら、どうぞ気軽にお声をかけて下さいね☆ 初心者ガーデナーが躓く失敗談ネタだけは当方タダで売るほど在庫持ってます! なのでそれらご希望でしたら喜んで御裾分けさせて頂きます(笑)。

ちなみにバラのハイシーズンは当地では6月ですが、庭そのものをご覧になるなら5月がおススメ。バラが咲いちゃうと、骨格云々になんて皆さんまったく眼がいきませんので・・・・・・・って、それもこれもコロナが終わったら、の話なんですけどネ。