ヘリテージ/ローズマリー

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ヘリテージ Heritage
作出:1984年/オースチン(英)
樹形:大型・半直立性シュラブ
花期:中咲・繰り返し
花径:中大輪
交配:実生 × (Iceberg × Wife of Bath)
備考:『遺産』の意。

このバラ見てると、確かにこれは『遺産』だな、と思う。最も完璧に近いシュラブローズ。イングリッシュ ヘリテージ English Heritage優しく澄んだ花色で、花型はまぁるいカップ&ソーサー。整然とした花弁の重なり。時に花芯を覗かせる表情も上品で、最後まで形を保ちます。繰り返し咲き性も◎ 秋バラもしっかり期待出来ます。イングリッシュ ヘリテージ English Heritage花保ちが悪い、って評価があまりに先行し過ぎてる感があります。でもそれって庭主の価値観の問題であって、決して欠点としてだけ語られるべき特徴ではないと思います。少なくともうちにとっては、かなり現実的な意味で有難いスペックでもありまして・・・・
イングリッシュ ヘリテージ English Heritage
うちがガーデンローズに求めることは、一輪一輪の花保ちよりも、株全体での見頃(花期)をどれだけ長く保てるか、ということ。

雨風や急激な暑さ、そうでなくても開花から日数が立てば花は痛みます。だからうちでは最盛期にこそ徹底的に花殻を摘みまくる。それが美観を保つ最善策だから。そうして庭主が摘む係なら、バラは咲かせる係。摘まれた分と入れ替わるように次の花が咲いてくれれば、あとは何事もなかったかのように見頃と言える花期をキープできる――、房咲品種の場合はそれが可能です。逆にこれから咲くつぼみがどんなにあろうと、朽ちた花殻が目立てば花期は「…終わったナ。」と感じてしまう。だからこそ草臥れた花は人様の眼に触れる前に一刻も早く消去してしまいたい。でもごくごく少人数でこの庭を維持している以上、最盛期には手が回り切らないこともある・・・そんな時、自己判断で綺麗な花弁のままサラッと散ってくれるヘリテージのようなバラは、有難いことこの上ないのです。

そしてこれは多分、ガーデニングをこよなく愛するイギリスで生まれた品種であることの証明でもあると思う。ガーデンローズがセルフクリーニングというスペックを持つことには大きな意味があるんです。その代償として一輪一輪はアッサリ散り落ちちゃうとしても、大型種で大量に花咲くタイプであればあるほど、ホント助けられていると感じます。

・・・それに実際は言われている程でもないんだけどな~・・・・家庭でなら切り花で楽しむことだって可能なはず・・・・(ファサリと音を立てて崩れ落ちる瞬間もモチロン込み込みでどうぞ。切り花品種では到底味わえない贅沢と詩情の極みです)・・・・・っと、あ゛ー・・・でもこの花保ち問題に関しては、ちょい横道に逸れますがあともうひとつ。
その株の根張りの容量を超えて枝を長くのばし過ぎちゃうと(或いはつる枝を茂らせ過ぎちゃうと)花付だけでなく花保ちも悪くなるのは道理なんじゃないかな、とは思ってます。実際、幼苗や根っこ由来の生育不良、或いは移植直後の株は花保ち悪いですもん。特に花弁数の多い中大輪系品種の場合はあからさま。おそらく吸い上げる水分量が満開花の欲する水分量に間に合ってないせいなんじゃないかなと。牡丹とか芍薬なんかも同じ傾向があるので、多分そういうことも絡んだお話になると思います。ましてや長く伸ばしたツル枝を横倒しにして、この多花性品種を一斉開花させてるとなればサ・・・

と言う訳で。ヘリテージを代表とするこのテの品種をガーデン内で出来るだけ長期間楽しみたい!とお考えなら・・・・・冬季剪定。結局それだ(笑)。
イングリッシュ ヘリテージ English Heritage⇧⇩の背景はバイカウツギ。イングリッシュ ヘリテージ English Heritage

イングリッシュ ヘリテージ English Heritage成木になるとベーサルシュートは出難くなりますが(偶には出ますケドww)それも含めて美しく整った巨大な花束が自然樹形となります。⇧の画像が比較的解かりやすいかな?これで樹高180位。支柱等のサポート一切ナシの状態です。半直立性なので御本人に任せておくと樹高はもっと高くなるんですが、うちでは主幹に支柱が必要になったら腰高と見做してるので、2,3年に一度はその古幹を大きく切り戻してサイズ感をキープしています。ちなみに棘も少なく、枝もしなやかなので誘引するにしてもラクそうだなと感じます。イングリッシュ ヘリテージ English Heritage花容といい、樹形といい、樹勢といい、ガーデンローズとして最高峰でしょう。実際どんな草花や花木と混植させても、間違いなく絵になる御方です。イングリッシュ ヘリテージ English Heritage⇧クレマは多分ハニア 手前のバラはバレリーナ  ⇩はボケボケなんであれですけど、ロイヤルサンセット等。優しく澄んだソフトピンクなのでブルべでもイエベでもいけます。
イングリッシュ ヘリテージ English Heritage

・・・ただ、実はこの品種も大人の事情によって、今後市場ではめったに見られなくなるんでしょうね・・・・なんか淋しい限りです。植栽品種を見て頂ければ解かる通り、私はどちらかといえばワリと初期の(細かく言えば第一次円熟期って頃の)イングリッシュローズを愛でているので尚更です。花容も樹姿も純真で媚びがなく、儚げに見えて確固たる矜持がある。確かに欠点もちらほらとはあるけれど、それも含めて魅力であり個性。だからこそ庭主と対話し続けてくれる・・・そんな品種群です。
今うちの庭がこういう姿であるのは、ひとえにこの初期イングリッシュローズを、庭作りを始める一番最初の段階で植えたことによるところが大きいと思います。当時の私は、品種選びも花容&花色メインで、品種個々の特性なんか何一つ頓着していなかった。巷の栽培データも殆どが暖地のものなので結局はまったく当てにはならなかったし。
でも耐寒性があって丈夫で美しい樹姿を持つこのコ達は、無知な素人ガーデナーの私にローズガーデンの作り方と在り方を、ひとつひとつ丁寧に辛抱強く教えくれました。親であり師匠であり子でもあり、そして同志だとも思っています。ですからこれらの品種が流通から姿を消し、新しくガーデナーとなる方々の庭に迎えられなくなることを殊更に口惜しいと感じてしまうのです。齎らされるはずの喜びと幸せの大きさを知ってるからこそ。
勿論、いくつかの欠点を改良した代替え品種のほうを優先させたいとか、最新品種が売れないと産業として成り立たないとか事情はいろいろあるでしょうが、だったらいっそこれらの品種はオールドローズとして扱うべきなんじゃないかとさえ思います。だって・・・・パテントが切れてオースチンのメインコレクションから外れても、『遺産』であることは紛れもない事実なんですから。

・・・・とか言っててサ。パテント切れたってことは、今後は道の駅とか青空市場とかにガンガン出るのかもしんないけど(笑)。もしかしたらその場合は別名とか名無しで出回るのかもしれませんが、見つけたら私、ニヤリ笑ってあげると思いますww

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ローズマリー Rose-Marie
作出:2003年/オースチン(英)
備考:ヘリテージの枝変わりなので性質は一緒。まぁるいフォルムの外側は殆ど白ですが、中身はバニラ色。イングリッシュローズ ローズマリー Rose-Marie

イングリッシュローズ ローズマリー Rose-Marie

イングリッシュローズ ローズマリー Rose-Marie⇧⇩紅ウツギ

イングリッシュローズ ローズマリー Rose-Marie

イングリッシュローズ ローズマリー Rose-Marie
えぇ~と、この色の大輪で大型(つる扱いも出来る)品種に、セバスチャンクナイプサマーメモリーズがあります。あと、チャイコフスキーも場合によっては。ですが御顔は似ててもスペックはそれぞれ違います。顔写真だけではなかなか分からないことなので、何かのご参考になれば。