【根っこのあれこれ】

さて今回はもしかしたらちょっとマニアックなお話かもしれません。
と言っても例の如くで、ティストウの庭における私個人の経験談と、それに伴って感じたあれやこれやなので、あくまでテキトーに話半分程度で捉えて頂けたらいいかな、と😊

ではまず大前提から。
バラを植えているガーデナーであれば皆様ご存じの通り、現在国内で流通しているバラ苗はその殆どが接ぎ木によって増殖されたものです。
つまり地上部分と地下部は別モノ。
その理由をザックリ説明すると、現代のバラは基本的に花の美しさを追求して品種交配されたものだから。結果20世紀にバラ界の主流になったHT系は見事な巨大輪を咲かせるスペックを持たされた一方で、自力では満足に育てないほど虚弱な性質になってしまった。
とはいえ育たなければ花は咲かない。なので美しい花を咲かせる園芸品種を、健全健康に育ちやすい原種バラの根っこに接ぎ木した。この手法なら苗として増産する時も上手くいきやすいし、その後育てる側にしても一定レベルの樹勢が確保される訳だから、あとは心置きなく栽培出来る―――
かなり雑でディテール間違いだらけな解説かもしれませんけど、まあだいたい大筋そんな感じ(おい)
兎も角そんなこんなの事情がありまして、現在ガーデンローズとして流通しているバラ苗は、殆どが接ぎ木(もしくは芽接ぎ)によるものとなっているのです。

美と愛を司る女神の名を与えられたHT。 

もちろんどんなバラであっても適宜な枝を適宜に挿し木すれば、自根は出るでしょう。植物の生理現象として当然のことです。(HT系はそれすら怪しいケド)
だからこそ上記の事情をよく知らない方々は至極カンタンに「バラって挿せばつくのよね~」と仰る。また、花束でもらったバラを発根させようとしたお話もよく耳にする。
けれどもそのバラが以後健全に育つかどうかは、残念ながらまったくもって別のお話。

実際挿し木(自根)であっても接ぎ木苗と同等の生育をみせる品種もあることはあります(原種あるいはそれに近いオールドローズ、またはその性質を色濃く受け継ぐシュラブ系ローズなど)あります、が、少なくとも切り花品種は運よく発根したとしても、素人には十中八九満足に咲かせることは出来ないでしょう。あれらはプロ農家さんがハウス栽培にて厳密且つ特殊な管理をすることを前提にして育種された品種群。しかも切り花用だからステム(花茎)がとんでもなく長くなるという独特なプロポーションをもつ。ガーデンローズとしてはアウト。だからもし誰かが切花専用品種の苗をタダで譲ってくれると仰っても(もちろん合法の範囲内で)ごめんなさい、私はご遠慮致します。扱いきれないことは目に見えてるし、私の欲しいバラはそれじゃない。

要するにガーデナーにとって美しいバラとは、常にすこやかな生育とイコールで結ばれているってことが重要ポイント。
だからこその接ぎ木。
その土台となる根っこ(以下台木)には『丈夫で健康に育つ』という使命が担わされているのは既述通りですが、ついでに言えば『より手軽に入手しやすいもの』であればなお理想的となるしょう。

そんな訳で、日本国内で増殖され流通する苗(以下国産苗)の台木には、日本の自生種であるノイバラが抜擢されてる今現在。(正確にはより扱いやすい棘ナシの選抜種ノイバラ) 他には、古くから日本で栽培され続けてきたオドラータキング(スタンダード仕立て用として)なんかも台木にされてるコトがあるらしいですが、それはあくまでごくわずかでしょうから、とりあえず今は『国産苗=ノイバラ根』と覚えておけば充分かと思います。
ex.メイアン社(フランス)作出の品種であっても日本国内で増殖&販売されたものなら国産苗で台木はノイバラ。

国産苗は根っこがノイバラ(=ロサ・ムルチフローラ)⇩

一方、輸入苗は台木がノイバラじゃない。
ヨーロッパでは現地の自生種であるカニーナやラクサが台木にされているし、アメリカではモダンローズではあるけれど極めて強健で旺盛&環境適応力の強いドクターヒューイが台木に使われているそう。
つまり・・・・20世紀に世界中で最も売れたと言われるピエールドゥロンサールも、根っこは各国によってマチマチ、ということになります。そう考えるとちょっと面白いっスねw(え、私だけ?)
とはいえ日本のガーデナーにとって、それらの輸入苗を手にする機会はそう多くはないでしょう。だって古今東西のありとあらゆる品種が、輸入に頼らずとも国産苗でちゃんと手に入りますから。

・・・・だがしかし。
私たちにとって最大手の例外が存在します。それが、

イングリッシュローズは根っこがロサ・ラクサ⇩

ちょっと前までは国産のイングリッシュローズ苗もかなり出回ってたんですが、今は殆ど見かけなくなりました。
どうやらオースチン社の方針らしいです。まぁおそらく大人の事情絡みとは推察してますが(決してそれが悪いとは言ってません)それよりも気になる噂がありまして。
その噂とは、

『ラクサ根で育ったイングリッシュローズはオースチンが作出した発色そのもので咲く。香りも濃厚。対してノイバラ根だと微妙に「それじゃない…」らしい』

・・・・マジか。。。
確かにラクサとノイバラはそれぞれ別の性質を持っています。ので、根っこの性質に影響されて花の性質が変わるってことも、当然あるのかも・・・・・・また、作出ブランドが本当にそうおっしゃったとすれば、それは確かにそうなのだろう、とは思います。思います、が・・・・

改めて思い巡らすと、うちにも同一品種で異根をもつイングリッシュローズが3,4組、あることはあります。とはいえ双方を見比べてみて、花や香りにあきらかな違いを感じたコトは・・・・・正直、無いっスね。
私が実体験によってはっきり言えることといえば、『たとえ異根であっても同一品種は必ず同じ日に咲く』ということ。それから・・・・『サボり癖のあるアヤツら⇩はしっかり同じ年にサボった』ってゆーことくらい🫠

ただそうは言ってもこの回答はごくごく僅かな数での比較に過ぎず、しかもそもそもに見比べる私がかなり大雑把でテキトーな人間なんで、あんまりアテにはなんないイイカゲンな情報w

とはいえもし同一品種で異根の株を育てているお客さまがいて、「あら、うちのと違うわ~! これも、あれも、それも!」とおっしゃったとしても。
それが本当に根の違いによる差異なのか、それとも栽培地域の気温or日照or土質による違いなのか、はたまた樹齢とかやってる肥料成分とか個体差とか或いは…ってな感じになってしまって、私には要因を断定することが出来ないでしょう。バラの花色はデリケートで、ありとあらゆるものに影響されるとなまじ知っているがために。
イングリッシュローズではないけれど具体例としてあげれば、私はコーネリアで気温による花色の劇的な変貌を目撃したことがある。スパニッシュビューティーで枝齢による花色の濃淡をまざまざと見せつけられたことがある。チャイコフスキー⇩なんか最早ベツモノ!ってレベルで毎回花色が違う―――
香りについても同様。一般に微香とされるアンジェラだってうちではよく香ってるし(国産苗と挿し木苗)、デンティベスのスパイス香を私は嗅いだことがない(国産苗で2つ並べてるけど2つとも)

こういう事象は他のバラ達においても多かれ少なかれ常にあることです。そこが自分の庭でバラを育てる面白さでもありますしね。

だからもし上記したイングリッシュローズにまつわる噂を正しく検証したければ、同一品種異根株のイングリッシュローズを同じ場所に2つ並べて植えて育ててみるしかないでしょうね・・・・・・それでもそこが日本国内である限り、たとえラクサ根であってもオースチンの意図した色や香りではない可能性がありますが。


⇧ラクサ根のセプタードアイル。だからこれであってる? ちなみにうちは酸性土壌ぎみで開花期の平均気温20℃。(イギリスはアルカリ土壌寄りで開花期の平均気温16℃)

但し。
輸入苗と国産苗を、花ではなく、樹の生育面にて比較すると話は違ってくる。
巷で知るところによると、

◆ノイバラ根は日本の風土に合っていて旺盛によく育つ。但し、癌腫病には罹りやすい
◆ラクサ根は生育がおだやかで、高温多湿に若干の不安。但し、癌腫病にはある程度の耐性がある

・・・ふむ。なるほど。
実際庭作り初期のころ、⇧の情報を踏まえてワザワザ輸入苗を購入してた一時期がありました。また、「寒冷地ではラクサ根のほうがいい」みたいな話もどこぞで聞きかじりましたし。その頃購入したバラは今でも庭に咲いています。
とはいえ庭全体でみると、イングリッシュローズを除けば、おそらく8割以上が国産苗。
だから客観的データとしてはかなり偏りがあって、比較論をするには非常に難しいことは重々承知してますが・・・・・それでもまぁ、それなりにいろいろ感じてることはあるんで、以下ご参考までに。

うちの庭では、確かに国産苗のバラのほうが旺盛な生育を見せてるような気はします。もちろん品種個々の樹勢の強弱差はありますから、国産苗ならいつでも旺盛!とは言えませんけれども。
それでも各品種の栽培データとして書籍とかネットとかで示されているものは、前提として国産苗のものなので、ガーデナーにとっては「だいたい予想した通りの生育過程を辿る」っていうのは心強いメリット。

対して輸入苗のバラは、生育がかなり緩慢だと感じることが過去には多々ありました。
『緩慢』とか『ゆっくり』とか『おだやか』とか言い方はいろいろあるでしょうけど、ノイバラ根の生育経緯をフツーだと思ってるガーデナーからすると、初期生育の段階で苗がいつまでたっても借りてきた猫状態だったりするので、途中いろいろかなり不安になるんですよね~。。。
ちなみにうちには、存在感を発揮するまで20年かかったツワモノ⇩すらいたりして。

まぁさすがにこれは極端な例でしょうけれども、実際の話、ラクサ根の場合は購入して植え付けてから3年ないし数年の間、「なかなか勢いが出ない~、思うように育たない~」ってやきもきする可能性は大いにある。

それが単にラクサ根由来で『生育が緩慢』なだけなのか? それとも品種自体が虚弱なせいか? 何か病気に罹っているのか? 栽培方法が間違っているのか? 環境が気に入らないのか? 加えてうちの場合は、結局耐寒性問題なのか?
これらの見極めは非常に困難で、常に抱える悩みの種になりかねない。

とはいえ気持ちに余裕をもって悠然と構えていられれば、大抵はそのうちちゃんとそれなりの姿を見せてくれます。品種として大型になる予定のバラなら、いずれはちゃんと大型化します・・・・・かなり年数をかけた上での話になりますけどもネ。


⇧輸入苗のHT。樹齢20才越え。樹高130~150センチで逞しく居住まっておられる。

ちなみにラクサの根はよくゴボウ(牛蒡)とも表現されます。
太くて長くて茶色いので。
スーパーで見かけるゴボウみたいに一本まっすぐ…ではないけれど、売り物にするにはちょっと規格外に曲がったり二股三股になったりしたゴボウ。それが2,3本もしくは数本で地上部のバラを支えている感じ。ゴボウはより深く深く地下に向かって伸びている場合もあるし、より遠く遠くへと横に向かって伸びている場合もある。

ラクサ根見ると私いつも思うんだけど「コヤツ、養分とか水分どっから吸収してんの…?」 だって太いゴボウ根はただただひたすらゴボウであって、細かいひげ根が殆ど無いんだもんヨ。まぁもちろん全然ないって訳ではないけど、「…こんなんでホント大丈夫?」って心配になるのが常。

とはいえこれはどうやら輸入時の植物検疫でそうならざるを得ない、って事情も絡んでるらしい。外来の病害虫を持ち込まないよう一旦土をすべて洗い落とさなければならないため、結果どうしても細根が処理されてしまうというコト。
それからもうひとつ。そもそもあのゴボウ根は、養分とか水分とかを根っこに蓄える性質によるもの。だからラクサは乾燥や肥料不足にも強いし、細根は少なくても大丈夫、という説もある。
確かにそれだったらああなるか・・・と、とりあえず納得はする。する、んだけれども・・・・とはいえ、アレだ(ドレだ?)

対してノイバラ根は、とりあえずモシャ~~~~ッとしてる😏 中にはラクサのように太く長いゴボウが含まれている場合もありますが、決定的に違うのは、根っこの本数。長かったり短かったりいろいろですけどとにかく細い根っこがモシャ~~~~ッと沢山生えてる。健全健康に育っている株であればあるほどこの根っこ群のボリュームは大きくなっていて、あからさまに「元気の源!」って感じになってます。

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・・・ってここで根っこの画像を貼り付けたいところなんだけど、ごめんなさいぃ~!撮って無いぃ~!だって私にとってバラの根っこは全部ハリポタに出てくるマンドレイクなんだもんヨ!土から引き摺りだしたら急いで埋め戻さないとえっらいこっちゃ! スマホなんて出してる場合じゃなーい!なので実際に御覧になってみたい場合は各方々で画像検索なさって下さいましな
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それともうひとつ大きな違いがある。それは⇧のゴボウ根という生態に付随する性質の違いでもあるんですが、

◆ 地植えのラクサ根は、移植されるのが嫌い

決して「絶対出来ない!」というコトではありませんが。
例えば鉢栽培していたものを、根鉢を崩さずそっと地植えにおろすとかなら問題ないでしょうし、地植えで植え付けて1年くらいなら、まぁ・・・でも2,3年経つとなると・・・うぅ~~ん・・・まぁ、出来るっちゃあ出来る、んだろうけど、出来ることならあんまり・・・・ってな感じになる。ましてや地植えしてから数年以上育ち既に大型となった株を移植するともなれば、相当な覚悟が必要。

まずはあのゴボウ根が地下でどこに向かってどれほど伸びてるかは神様とモグラのみぞ知るトコロ。地上部が元気にモリモリ大型化しているとなれば、根っこも間違いなくそれに準じた長さになっています。ので、掘り上げには相当に手こずると心しなけばならない。
実際うちでは、相当に手こずって手こずって手こずって、それでも掘り切れず移植自体を諦めたことが何度かあります(移植を断固拒否したS姫⇩ 結果どうなったかは頁にて)

もしくはどうにかこうにかやっとの態でせっかく移植出来たにも拘らず、移植先では移植前のスケール感に戻れなくなってしまったって経験も一度や二度ではありません。(ちなみにその場合、新しく苗を買って植え付けたほうが早いって結論。移植後10年待っても戻らんもんは戻らんノ。。。移植害者の会代表 初代P⇩)

この原因はおそらく移植時に、長く太く伸びたゴボウを切断してしまったことによるもの。
他の花木や草花にも共通して言えることですが、えてしてゴボウ根は再生力が乏しい傾向にありますよね。しかもラクサ根の場合、養分や水分を吸収するための細根は根っこの先端にあることが殆どなので・・・・・後は言わずもがな。
移植後は切断を免れたゴボウに残った力で何とか生きながらえはしますけれども、そんな訳なので移植前のような姿に戻るのはなかなかに難しい・・・ということになります。

だからラクサ根の移植が成功するかどうかのカギは、地上からは知る由もない四方八方に長く伸びた根っこ群を、如何に傷つけずそのまま掘り上げられるか この一点。
実務経験に富んだ凄腕の造園職人さまでもない限り、かなりイチかバチかの運まかせ案件となるでしょう。
そしてバチのほうを何度か喰らった経験のある一般ガーデナーとしてはどうしても「・・・ラクサ根、なぁ~・・・いや、ちゃんと育つよ?丈夫だよ?基本的には、ね。でも・・・・あの・・・」とゴニョゴニョ言葉を濁すようになってしまったという次第です🥴💦

対してノイバラ根の移植は大丈夫。ラクサ根のように長く長く彼方に向かって伸びていることはないし、たとえ太く長くなってる根を切断してしまったとしても、健康に育っている株であればそれを補うように細根がすみやかにモッシャモッシャ生えてくる性質なので、かなりの大型種であっても心配することはまずないでしょう。(いやでも無神経&乱暴にやっていいって意味じゃないのよ、あくまで大事なバラを移植させるガーデナーとしての範疇で)

実例として⇩ 5年以上地植えされた他方から昨秋移植されてきたばかりのアルテミス。樹高&株幅は共に180センチ以上で、何なら移植前の年よりもでかくなっておられる・・・

まぁもちろん、国産苗がいつもいつもガンガンモシャモシャ旺盛に育ってくれるか? といえば、それはまぁ・・・・・・🙄😴😶‍🌫️

或る程度の株数のバラを或る程度長く育てていると、輸入苗国産苗に関わらずたまに、「ハッキリした理由はつかめないけどぉ、なんとなーく生育不良な気がするぅ…」ってバラはどうしても出てきます。そういう時はいろいろ考え悩みますし、気を揉みます。春から秋まで、もしくは数年もの間そのバラを眺め続け&悩み続け・・・・・・・・・・それでもなんも解んない!とりあえず上手く育ってないってことだけは解かる!ってな場合。
うちではゲン直しで移植してみることがあります。そう、もはや神頼み的な😂
で、そういう時に株を掘っ繰り返すと、十中八九はゴボウが登場!・・・というのがうちでの定番でありまして。
これは元々がラクサ根であった場合と、ノイバラ根ではあるけれど細根が発育せずゴボウ化してしまった状態とが併存してます。
ただ、そういう実状があるがために、なんてゆーか・・・・・私にとってゴボウ根は、鬼門的な印象になってることは否めないですね。。。

ちなみにゲン直し移植のラクサ株は、わりと簡単に移植出来てしまいます。だって生育自体がずっとイマイチだった株はたとえ数年以上地植えされていてもゴボウ自体が満足に育っていないので。


⇧最近ココに移植されてきたキャンドルライト。結構なご老体で、しかもゴボウ根であることは予め把握してたんですけれども、そもそもがコンパクト品種なのできっとイケると判断。果たして大きなダメージを与えることなく移植成功。ちなみにこのコの場合はゲン直しというより、周囲の奴らが年々勢力を増してきたが為だんだん日陰が色濃くなってきてしまったことによる、いわば亡命。新天地がお気に召したようでなによりです😇

 

・・・・あ。それで移植の話になってるんで、ちょっと脇道に入りますけど折角なんで小噺をひとつ。

Q 『バラの移植はいつするの?』

鉄則として、バラの根っこは生育期に触っていいことなんて、まったくゼンゼン何も無い。例えどんなに調子が悪いと感じても、或いは逆にどんなに元気でちょっとやそっとじゃ枯れそうにはなかったとしても、既に地植えされてるバラを掘っ繰り返して植え替えしてみたりとか、根っこの様子をみたりとかするなんて絶対にありえない。後悔エンド確定。
もし仮に隣のおうちで急に塀を立ててしまって、思いがけなくバラが日陰になってしまったとしても・・・それまで地植えで育ってきているのなら、そのまま移植適期を待ちましょう。たとえそれでその年の生長やパフォーマンスがガタ落ちしたとしても、生育期に移植するよりずっとまし。
あるいは・・・例えばそれまで鉢栽培してたバラ(もしくは買ったばかりのポット苗)を春に地植えにしたら何だか調子悪くなった。のでやっぱり鉢に戻そっかな…っていうのも、言うほど簡単な話じゃない。そもそも生育期にいきなり環境が変わったバラ苗が1,2ヶ月程度沈黙するなんてザラにありますし(子供の人見知り場所見知りと一緒)一時的に体調を崩すことも当然にある。それでも根っこは生きていく為に一生懸命活動してるものなので・・・それらの根っこ群を1ミリも傷つけず秒で鉢に戻せるというのならあれですが。私ならステイ。間違いなくステイ。

ともかく国産苗輸入苗を問わず、バラの移植は休眠期(冬)にする作業。これは鉄則です。
但しティストウの庭では晩秋一択。もっと正しくいうと、

A『バラが休眠期に入る直前の1~2週間が勝負!』

これは寒冷地ならではの事情によるもの。
移植によって多少なりともダメージを負わされたバラがその後訪れる厳しい冬を無事乗り切るために、出来れば移植先にて土にちゃんと馴染んでから休眠してほしいので。そうじゃないと霜柱で株が大きく浮き上がってしまって株に致命傷を負わせてしまう可能性がある。(薄いコンクリート平板くらいなら余裕で持ち上がるんだぜぃ!)ちなみに移植したコらにはそこらへんの落ち葉かき集めて分厚いマルチングもしてあげます。お詫びとお見舞いをかねた特別待遇として🙏

本格的な寒波がくると地面が凍ってスコップが刺さらなくなるので移植はそもそもにムリ。
また、まだ休眠明けしていないと思われる早春の頃なら移植しても大丈夫そうな気がしてしまいますが、たとえ芽吹き前であっても根っこは地面の凍結が緩むと同時に動き始めてるらしく、予想以上にダメージがでる。その場合少なくとも夏過ぎまでは復調するので精一杯、当然春の一番花は見込めない。ってことをいつぞやにバラ様から直接教わったので、うちでは早春の移植もNGになってます。


⇧「さぁ~ていよいよ適期じゃの~! おのおのがた支度は良うござるな?」って頃。あえて何月の~とは言わないでおきます。作業カレンダーは庭の景色を見たほうが確実だから。

でももし万が一・・・・バラの生育期に例えば「外の水道管が水漏れしてる!バラをどけないと工事出来ないって!」などという次元の のっぴきならない事情が発生した場合。
それなら確かに仕方がない。けど、相当に腹を括ってのご対応を。

私だったら・・・・・まずは天気予報を睨み(下り坂もしくは曇天続きなら小吉、晴天続きなら凶、移植翌日雨が降るのは中吉だけどその雨上がりに風が吹きそうなら大凶)、移植前の対象株に水を充分に吸わせ、地上部の半分は切り詰め(大株であればあるほど大きく切り詰める。シュートやら新芽やらはムリ。諦めて) そして対象株をじっと見つめながら掘り上げの手順をイメトレにて何度も繰り返し充分に確認しつつ(スコップの入れ方など外部サイトですがこちらが一番分かりやすい。やっぱプロ)夕方を待つ。
時がきたら移植先の穴をスタンバイしてやはり水を充分にしみ込ませ(バケツ2杯くらい)、その上で対象株を湿った土ごと一気に掘り上げて(⇦慌てて雑に、って意味では決してない。あくまでイメトレ通りに)即時しっかり植え直す。最短時間での一発勝負。そしてバラ様に誠心誠意平謝りしながら大急ぎで大きなジョーロ1つ分の水やり。

翌日以降お天気がいいなら日中は日傘なりシートなりで遮光する準備(1週間程度は確実に。場合によっては長期戦になります) 鉢にあげたのなら涼しくて風当たりがない日陰で管理。掘り上げた時の状況によっては(根っこを多く切ったetc)更に枝や葉っぱを減らして水分の蒸発量を調整しつつ様子を見守る―――
それでもし、その後水道管の工事が終わって元の場所に植え戻せる状況になったとしても、これ以上無意味に痛めつけるのは止めてさしあげて。少なくとも休眠期に入るまでは、そのまま大事に大事にそーーーーーっと見守ってあげましょう。

要するに生育期の移植というのは、バラにとっては『麻酔ナシでの、要らん開腹手術』な訳です。普段は太陽が恋人!みたいにバイタリティーあふれるバラだけど、ヒトの都合によって強いられた移植後は、極力安静にしてそれ以上余計な体力を消耗させないよう過ごさせてあげることが重要。肥料はいらない。術後ICUにいる患者さんにカツ丼差し入れてどーするよって理屈。活力剤を与えたいなら薄ーく薄く、例えるなら熱だしてぐったりしてる幼児にゼリーを一匙あげる時の慎重さでどうぞ。(私はそれすらも怖いと感じてしまうから直ぐにはやらないと思う。あげるならせめて一息落ち着いてから)
ともかく理不尽に大ダメージを負わされたバラに対して、庭主がしてあげられることは何も無い。ただただひたすらそっと見守って、日に当てず、風にも当てず、そして夕方になったら水をたっぷりあげるくらいが関の山。

それで上手くいけば最短で10日過ぎ頃から少しずつ元気を取り戻せるかも・・・あ、でもあくまで『かも』ですよ『かも』かなり楽観的予測としての『かも』です。復活の兆しが見えるまで1,2ヶ月以上かかる可能性だって充分あるし、それでもそもそもが生き延びてさえくれたら間違いなく「御の字〜〜っ!」って叫ぶべきレベルの案件なので。
兎も角、そうして生き延びて元気になってくれたとしたら、それはひとえにバラちゃん本人の頑張り。もしくは庭主によって齎された大々迷惑を、根っこにされたバラが許してくれる気になっただけ。(但し『許してくれた』とは言ってない。あくまで多少その気になってくれたってだけ。だからくれぐれもムリはさせないで。リハビリはゆっくり慎重にすすめてあげて。移植時に残されてた芽が枝の余力だけで早急に展開し始めることもあるけどそれは只のカラ元気です直ぐに萎れます慎重に見極めて更なる養生を………っ! ⇦留意項目が止めどなく沸き上がります、休眠期外の移植がバラにとってどんだけ酷い仕打ちなのかご理解下され。そしてそのバラが本当に本来の姿に戻った時には、どうぞ存分に祝福してあげて下さい!)

・・・・・・ってすみません、かなり寄り道が長くなりました。戻ります。
それでノイバラ根とラクサ根の違いとして最後に残った重要案件。
おそらくロザリアンの皆様が最も懸念されてるであろう『癌腫病に対する耐性』について。

この件に関しては・・・・・そうねぇ~・・・・・確かにうちでも、ラクサ根で癌腫やったコに覚えはない。ですね。
とはいえうちのバラの8割以上を占める国産苗中で、癌腫は2,3年に1,2度あるかないかって頻度。しかも発症してるのを発見して患部切除⇨その後お元気、ってパターンが殆どだから然程気にしたこともないっていうのが実状。

うちでバラを亡くす最大ダントツの要因は、あくまで耐寒性問題。あとは・・・たまーにポツポツあるのがカミキリ等の虫による食害。そんで稀に発動される庭主の横暴・・・・
癌腫を理由にして撤収したバラは、ここ10年で覚えている限りではたったひとつだけ。(・・・って、でもアレもなー・・・・実際の話、癌腫のみが要因だったと言いきれないっつーか・・・)更に言えば今の癌腫キャリア組らが今後もし枯死してしまったとしても、それ、病死か老衰かの判別が出来ないと思うんだよね~。大体みんな樹齢20歳を越えてるもんでサ・・・

⇧うちのキャリア組のひとつ・・・っつかこのコ、オウンルートだった気がするんだけど・・・ま、いっか。

ちなみに癌腫病は、土壌中の常在病原菌によるもので、感染後一度発症してしまうと完治は出来ない。だから昔は癌腫を発見したら即時に根ごと引き抜き(焼却処分)土の総入れ替えをするってされていたんだけど・・・最近の栽培マニュアルではそこまで大げさな対処はしなくていい、という傾向ね。だからうちもそれに倣ってる次第。「そんなんで隣のバラに感染しないの?」って訊かれると、うちではそういう感染は今まで確認してないな。こうみえてバラ同士の株間がワリと広いのも関係してるかもしれないけど。

と、以上がティストウの庭における根っこについてのお話となります。
いかがでした? 重ねて言いますが、これは同一品種異根株のバラを同じ場所に2つ並べて比較した結果によるものではないので正確&適切な情報とは言えません。また何より、ここまでお付き合い下さった方なら薄々(なんならキッパリクッキリ)お気づきでしょうが、私自身は経験上どちらかというと国産苗のほうが好ましいと思っています。その上でのかなり偏った話としてお受け取り下され。

私自身はかなりノンキで気が長いほうだと思うんですけど、ガーデナーとしては栽培自体を楽しむっていうより、思い通りの庭風景を描き出したいってタイプ。なので、やっぱ叶うなら一年でも早く成株になって欲しいし、場合によっては大掛かりな移植もする。だからノイバラ派。
それから、うちが寒冷地の比較的大きな混植ガーデンであるという事情。うちにとってバラは兎にも角にも強ければ強いほど良い!コトなので😘😘😘

だからこそ違う庭では違う意見となるはずです。
例えば暖地ガーデナーあるいはコンテナ栽培をメインにしてらっしゃる方であれば、「そんなガンガンもりもり旺盛に育ってあっという間に巨大化されても困るのよ。ゆっくり少しずつでいいからエレガントに育って頂戴」という理由でラクサ根を支持されるコトも想像に難くありません。あるいは、癌腫が庭全体の持病みたいになっていて癌腫さえ発病しなければあとはノンプロブレム!という環境であるのなら、ラクサ根選択も充分すぎるメリットになるかもしれません。

まあ、どちらにいたしましても。
一般に入手されやすい国産苗と、イングリッシュローズの台木であるラクサ根の性質の違いを或る程度でも把握しておくことは、今後何かしらの役に立つんじゃないかと思いまして、こうして長々お話した次第です🙂

ついでに言えば挿し木によるオウンルート(自根)の場合も同様。
ノイバラとラクサにこれだけの違いがあるように、自根にはその品種特有の性質が潜んでいるってことは覚えておいたほうがいい。既述どおりうまく育たないならまだ可愛げもあるけど(?)中にはノイバラやラクサよりもっと強健で、地下で伸びる根の各所から芽吹き、辺り一帯を己が棘王国にしようと目論む猛者までおられます。
なのでバラ苗はいつでもちゃんとした苗屋さんでのご購入をおすすめ。
個人的には・・・・既に手元にある廃盤イングリッシュローズのバックアップ用以外で、わざわざ挿し木するメリットはほぼないと思うんだけどなぁ~・・・・・だってタイパ考えたら接ぎ木苗でサクッと買っちゃったほうが断然◎だもんヨ(⇦みもふたもなしw)

だから万が一、メルカリでうちの画像を無断で勝手に使って、あげく挿し穂だの挿し木だのとして苗が売られていたとしても。その品種、絶対その画像みたいに咲きませんから!
いわば詐欺です。その旨どうぞくれぐれもお心置きを。

⇧国産苗で育てたコルデス社(ドイツ)作出のカインダブルー 農林水産省登録品種。
なので勝手に増殖・譲渡・販売すること自体がすでに違法。買う側もまた罪に問われます。当今PVPやらパテントやらの存在をまさか「知らなかった」なんて通用しないでしょうから、念のため注意喚起をば。