【ホワイトローズ閑話】

花のお顔だけ見てあれこれ言うのは得意じゃないです。
言葉を尽くして語りたい個性のそれぞれは、いつだって樹姿全体に現れてると思うので。

ただ、そうは言っても花容の麗しさこそが女王の女王たる証な訳で、特に白バラは清淑で、高雅で、エレガンスの極みかと。純白も良しアンティーク調ニュアンスカラーも良し。気高くクラシックな剣弁高芯咲きや、魅惑のディープカップ&ロゼッタ+ボタンアイ、或いは軽やかにヒラヒラ野を舞う蝶のような・・・・
って、書いててちょいアレですけれど(〃´∪`〃)ゞ


以下、画像をクリックするとその品種の個別ページに飛びます。

ジャクリーヌ デュ プレ Jacqueline du Pre

言うでもなく、白バラに飽くなき恋慕を募らせているロザリアンやガーデナーは世界中に星の数ほどいらっしゃるでしょう。そしてそれぞれにお気に入りの白バラがあるはず。私にとっては・・・・・
・・・うちの長女。そりゃそーだ! (とはいえうちの庭で咲いてる他のバラ達も私にとってはうちのコなんですがww) ついでに当アトリエのHPのヘッダーになってるのもナニゲに白バラ。好き過ぎてつい作ったヤツ。元画像は多分コレ⇩

これはつまみ細工の手法でシルクオーガンジーを・・・・って、いやいやいやいや。。。それはここでは違う話ですよね。私にとっては延長線上にあるとしても(;^ω^)

ともかく庭という括りに戻りましても。私にとってうちの庭で咲く白バラ達は、みんな私のお気に入りです。別にイイ人ぶってる訳じゃなく、どのコも庭内でオンリーワンな個性があるので、ナンバーワンはどうしたって決めかねるというのがホントに本心。

とはいえ「・・・でも実際に並べて見比べたらどーなんだろ?」とか、ふと思いまして。
それでさっそく摘んできたのが⇩
バラ期後半の庭に咲いてたコたちをティールームにて。
(・・・随分優雅なことやってんなーなどと呆れないで下さいまし。例年ならばこの時期のアトリエは中も外もフル稼働してるはずなのに2020年は・・・・ヤレヤレ)

ちなみに巷で大人気らしいあのコとか庭主溺愛のアレとかソレとかコレとかは前半組なんで⇧の中にはいませんが・・・・・どれが誰だか分かります? こういうのってローズマニアな方はサクサク言い当てちゃうんでしょうが(残念ながら私はムリ。うちにいるコ以外の御顔はさっぱり解んない)中には2つ3つ「んなもん解るかー!」ってのも含まれていますのであしからず(笑)。
解答は⇩
画像内にこまごまリンク貼るのメンド―なんで(!)個々の性質や庭での咲きっぷりなどは⇩から探して下さい。

ティストウの庭に咲く白系ガーデンローズ一覧

ホントは『百聞一見に如かず!』ってことにしたかったんですけど、撮り方が下手でどうにも伝え切れてない自信しかしないので、一応補足しておきますね。1.色味について。
ひとくちで白バラといっても、大きく分けて2種類の白があります。
まずは純白。文字通り混じりっけナシの真っ白を指していて、バラに限らず、或る意味別格な花色。受ける印象は硬質で、潔癖さすら感じる気品。凛然として厳格なホワイトガーデンに許される唯一の色。
そして純白のガーデンローズというのは、原種に近いものを除けば実は意外に少なかったりします。白バラの花弁は宿命的に降雨等で傷みやすい上に、樹勢が庭植えに耐えられる程強くなかったりするので、優れたガーデンローズであることが非常に難しいのだとか。と同時に・・・・長い歳月をかけて複雑な交配を繰り返してきた園芸種にとって、一切の色味を削ぎ落した純白はもはや奇跡の体現なのかもしれません。
⇧では、手前でボケボケになってるアイスバーグのみが純白。
⇩では手前のマダムプランティエが純白。隣の一重も・・・・ってすみません、うちの娘なもんでどうにもバイアスが(笑)。そして純白でない白バラを集めたのが⇩
ほんのわずかにピンク或いはソフトイエローを帯びた白。パステルカラーのバラとの線引きは・・・・私の場合、お天気の日に庭で撮ると真っ白になっちゃう確率、かな(笑)。カメラの腕がないのもたまには役に立つもんだw

で、これらの白バラは純白種に比べると、柔らかさや優しさを感じさせます。アンティーク風の白バラって言ってたら大抵こっち系の色合いだし、使える白の領域をここまで広げると、純白だけのホワイトガーデンよりも庭の表情がグッと豊かになります。

但し・・・・・あれだ。このくらいの微妙な色の差異では、ガーデン内においては多分同じにしか見えないです。繊細なグラデーションを楽しむにしても、庭でコーディネートするなら明らかな小輪やら軽やかな一重やらを取り混ぜないと・・・・いやいやいっそバラ以外の・・・・・・・ってか、ぶっちゃけ言うとホワイトガーデンで何より重要なのは白花をコレクションすることじゃなく、樹木等で設える緑の骨格!って思ってんですが、それはまた別のお話ですね。
⇧に集めたのは【大輪アンティーク風ホワイト系ローズ】の中でもソフトピンク寄りのヤツ。背景の庭植えにちょうど純白のシュネープリンセスが写ってるので見比べて下さい。

こうしてみると実際なかなか見分けるのが難しいですよね。そこそこ長らく一緒に暮らしてる庭主をして、例えば⇧の中にいるサマーメモリーズセバスチャンクナイプなんか「・・・あれ?どっちがどっちだっけ??」てな感じ。厳密にはサマー~の白はクリームホワイトだし、セバス~の白はごく淡いピンクベージュなんだけど、たまたま摘んできたお花2つぽっきりで見比べてもなかなか・・・実際この写真撮る時も解んなくなっちゃって、香りで嗅ぎ分けてました。セバス~は個性的な強香なの。サマー~は私的には爽やかな青りんごの気配。
ついでに言うと⇧の左手前にいるブラン化したロン様は咲き残りなのでご本人的にはかなり小ぶり。なので本物のブラン~様が満開になったら花径は前述2つと同じくらいの大きさになると思います。
また、右奥にいるローズマリーはそれらより若干小ぶりなものの、庭で咲く時は理想的なカップ&ソーサー型になって咲くのでパッと見の印象はほぼ大輪になるんじゃないかな。しかも房咲だし。
それからコスモスは・・・・まぁ、花弁にしっかりとしたフリルが入ってるのでワリと見分けられますが、全開すればサマー~やらセバス~やらとほぼ同サイズ&同色のロゼッタ花になりますので、見た目の差異はさほど感じられないかと。

静止した御顔のアップ写真ですらこうなんですから、屋外の光と風の中で眺めた時には花容の微妙な違いなんて・・・・・ましてやこれらは樹姿が明確に違います。庭での存在意義はそちらから察するほうが理に適ってるでしょうね。
要するにガーデンローズを品種選びをするなら、一輪咲いたお顔写真の微妙な差異より、植栽場所の条件にあったスペックの持ち主である事を優先させたほうが、結局お互い幸せになれるんじゃないかなーというコトです。もしくはスペックに合わせて植栽場所を決めてあげるか。

参考として⇩
右手前に大きく写ってるのがサマーメモリーズで、左端に写ってるのがアルテミス。どちらもアンティーク風ホワイト(色味のある白)なんですが、庭で眺めると実際こんな感じ。画面中央のデッキ手前で花束みたくなってるカルトブランシュだけが本物の白(純白)。

2.花径について。
バラの花の大きさ(直径)って、数字で明記するの実は少し難しいです。
というのは咲き方とか雰囲気ってあるから。
例えばアイスバーグひとつとってみても。蕾から咲きそめたばかりの巻を残した美形の一瞬で直径を測るか、ひらひらと咲き切って蕊を覗かせた段階で測るか。どこを以ってそのバラの本領とみるかは、見る人にもよりますしね。
或いは花径8㎝と記載されてる場合にしても、そのバラがアイスバーグのような平咲だったり典型的なロゼッタ花(横からみると平べったいヤツ)だったりした場合と、ディープカップor壺型or高芯だった場合とでは、見た目から感じ受けるサイズ感がぜんぜん違ってきます。目の前で実際に咲いているのを見た時に、前者なら中輪程度と感じるだろうし、後者なら大輪って感じると思います。
なので、うちでの表記はあくまで私の主観(笑)。その上で⇩に写ってるコ達を分類すると、
【大輪】
ロイヤルプリンセス・・・巨大輪と表現することも。黄みがかった色味とふっくらとまぁるい抱え咲のフォルムが花のボリュームを強調しています。威風堂々と一輪ずつ咲き上がるHT樹形もその一要素かも。但し株全体の花数は他に比べると少ないです。
フラウカールドルシュキ・・・・もしかしたら巨大輪と言ってもいいくらいな風格。ただし純白で透明感のある花弁なためか、ボリューム感より、どこか軽やかさを感じさせます。花弁数が案外少なめなのも関係してるかも。
青の軌跡・・・花の大きさは標準的なHT(大輪) ちなみにこのバラはガーデン内では白バラに見えますが、他の白バラと並ぶと繊細な淡青に気づきますのでご参考までに。
ピエールドロンサール・・・満開状態になった花容は言うまでもありませんが、このバラが最も美しいだろうコロンとした咲き始めの頃を以ってしても、その豊満な印象は大輪そのもの。(前述しましたが、⇧に写ってるロン様は咲き残りなのでそもそもが小ぶりに咲いてる上に、最奥にあるため、そこらへんをご考慮に)
サマーメモリーズセバスチャンクナイプコスモス・・・・・あ、
あれ?どれがどれだっけ・・・??? ともかく、これらはすべて満開状態で同サイズくらいのカップ&ロゼッタ。誰がどう見たって大輪。

【中輪】
アイスバーグローズマリー(ヘリテージの白)/モンジャルダンエマメゾン/・・・この3品種は咲き方も雰囲気もそれぞれですが、主観的には『ちょい大きめの中輪』ってことで認識してます。平咲とカップ&ロゼッタ花の大きさを花径の数字で比べるのは、ちょいムリだと思う理由がここにあります。
アルテミスマダムプランティエ・・・・片やまぁるい抱え咲で、片や平べったいロゼッタ。これも数字で表すといろいろメンドクサソウなんですが、単純に『中輪!』って言っちゃうのが一番伝わる気がするんですよね(笑)。

【小輪】
・・・あのぅ・・・・・これはちょっとした愚痴なんですけれども。この小輪系のバラを、一輪のアップ顔写真で苗タグにするのだけは止めてくれぇ~~~~!!!って、切実に思ってます。いえ、もちろんどんな小さなお花だってズームアップしてみればひとつひとつ丹精に造形された花であることは解るんですけれど、購入する時知りたいのはそれじゃないのよぉ~~~~っ!!!
たとえばこういうこと。⇧の画像見たって、欲しい情報は何一つ得られない。写真のデキは兎も角、⇩ならそれなりの情報が得られるんだけど。ロサ オドラータ Rosa Odorata 白長春 Rosa chinensis alba キネンシス アルバ
ちなみに⇧のバラの当庭での咲きっぷりが⇩  花のお顔だけでそのバラを語るのはムリっていうのはこういうことです。

っと、あーーーー・・・・それでついでなんでお話しますけど、品種選びの際くれぐれも「せっかく庭に植えるんだから、より大輪のほうが豪華で存在感があるだろう」とは思わないで下さいね? 極端な話、庭の中では花径15センチの巨大輪や超絶美麗花が3つ咲くより、その他大勢みたいな中小輪が大群で咲いてるほうが見応えありますし、花期も格段に長いので。

アイスバーグ つる Iceberg Cl 

もちろん沢山咲いて巨大化するからイイってもんじゃありませんが。
でも今から庭づくりなさろうとしてる方には、是非お心の隅にでも留めておいて欲しいコト。上記した大中小輪の3品種は・・・・って、これらに限らず。すべてのバラは店頭で、多分『同じ大きさの苗&同じ位の値段』で売られています(もちろん新苗・大苗の区別やら、ブランド或いは最新品種価格やらはあるとしても) けれど数年後、それらが庭の中でそれぞれどんな存在になっているかを考えると・・・・・・タグについてるお顔立ちや花径の大きさは、必ずしも品種選びの最優先事項じゃない、ってコトです。


・・・・・いえ、自分でもちゃんと思ってますよ?「そーは言ってもさぁー」って(笑)。モン ジャルダン エ マ メゾン Mon Jardin et Ma Maison

グラース アン アーヘン Gruss an Aachen グラス アーフェン

野ばら 原種 ノイバラ ムルティフローラ Rosa multiflora

フラウカールドルシュキ Frau Karl Druschki 不二 バラ

ともかく、ズブの素人が失敗に次ぐ失敗を重ねながら、それでも10数年バラ栽培をしてきてひとつ解かったことは。
世の中に流通してるすべてのバラは間違いなく美しい、という実に当たり前のこと。考えてみれば、ブランドのタグをつけられ市場に出回っていることが既に美しさの証明ですよね。ましてやオールドローズなんて類稀な美しさを持ち合せてなければ遠にこの世から消え去ってる筈でしょう。
確かに私の書いた個別ページの中には、あとから読み直すとかなりアレな所感を述べているのもありますが・・・・それはその品種そのものに問題があるのじゃなく、うちの庭がそのバラの生育に適した環境(もしくは栽培法とか極めて個人的な価値基準とか)と大きく食い違ってることによるもの。うちであまり高評価を与えられていないバラが、ヨソサマのお庭で素晴らしく咲き誇っている光景を見かける度、痛烈に思い知らされています。

だから庭づくりの一環としてバラを植えようとする者が考えなくてはいけない事は、そのバラが自分の庭でどう育つか?ということ。健康に育ち、その品種特有の個性が発揮されればどのバラも必ず美しく咲きますし、逆に庭の環境と折り合いを付けられず衰弱してしまった株が辛うじて咲かせた花には、決して美しさを感じることはありません。これだけは自信持って断言出来ます。だから庭を訪れるお客様に「おススメのバラは何?」って訊かれると、私は必ず「強いバラ!」って答えてます(笑)。私自身、品種選びをする時の第一希望は未だに初心者マークのついたバラですしね(この件に関してはこちらでも触れています)

そんな訳ですので「おススメ」というより、私個人の切なる希いとして・・・・
『すこやかにのびのび育ち、景色を一変させるような咲きっぷりで、お天気にも強く、さらに芳香まで楽しめる純白美麗花、もちろん耐寒性あり!』
そういう白バラのご登場を心よりお待ちしている次第です☆彡


・・・・・・(笑)。
あえてにナンバーワンを決めるなら、結局こうなる、ってオチでしたねww